中国のクルーズ船大手の中船嘉年華郵輪(CSSCカーニバルクルーズシッピング)は5月19日、中国の造船会社が建造中の初の大型クルーズ船を「愛達·魔都(アドラ・マジックシティー)号」と命名したと発表した。
CSSCカーニバルは、中国の国有造船大手の中国船舶集団(CSSC)とクルーズ船世界最大手のアメリカのカーニバルが設立した合弁会社だ。アドラ・マジックシティー号は全長が約324メートル、総トン数は13万5500トン、乗客定員は5246人に上る。
同船の設計・建造はCSSCの子会社の中船郵輪科技と上海外高橋造船が担当。完成後はCSSCカーニバルの新ブランド「愛達郵輪(アドラクルーズ)」に配置され、上海を母港とする国際航路に投入される予定だ。
2018年11月、CSSCはカーニバルおよびイタリア造船大手のフィンカンティエリの3社間で、大型クルーズ船6隻の建造契約を交わした。そのうち確定発注は2隻で、契約価格は1隻当たり7億7000万ドル(約1063億円)。残り4隻はオプション契約(予備発注)となっている。
日本や韓国の造船会社は惨敗
大型クルーズ船の設計・建造は難度が極めて高く、世界の造船業界では大型LNG(液化天然ガス)運搬船、航空母艦と並ぶ「三大クラウンジュエル(王冠の宝石)」と呼ばれている。中国の造船業界にとっては、3つのなかで唯一実績がなかったのが大型クルーズ船だった。
アドラ・マジックシティー号の建造は2019年10月に始まり、当初は2023年7~9月期に(CSSCカーニバルに)引き渡す計画だった。しかし、新型コロナウイルスの流行の影響や建造工程の複雑さから完成が遅れ、引き渡しは2023年末に延期された。
大型クルーズ船の建造は、これまでヨーロッパの造船会社が事実上独占してきた。前出のフィンカンティエリ、ドイツのマイヤー・ヴェルフト、フランスのアトランティーク造船所の大手3社で、世界の中大型クルーズ船の7割超を受注している。
過去20年余りの間に、日本や韓国などアジアの造船会社が大型クルーズ船の設計・建造に参入し、ヨーロッパ勢の牙城を崩そうと挑んだ。だが、結果はいずれも惨敗に終わっている。CSSCは前車の轍を踏まずに成功できるか、真の評価はこれからだ。
(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は5月19日
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