ロシアが北極海航路の開拓を加速している。11月22日、世界最大級の原子力砕氷船「ヤクチア号」の進水式が、サンクトペテルブルク市の造船所で執り行われた。同船はロシアが開発した「22220型」原子力砕氷船の4番艦で、2024年12月の就役を予定している。
22220型の船体は全長173.3メートル、全幅34メートルに及び、厚さ3メートルの海氷を砕いて航路を切り拓く能力を持つ。その建造は、ロシアが国を挙げて推進する北極海航路の開拓に欠かせない要素の1つだ。同型の砕氷船は5隻の建造を予定しており、1番艦と2番艦はすでに就役、3番艦は就役前の最終試験の段階だ。
これらの砕氷船の建造費は、ロシアが中国と共同で進めるヤマルLNG(液化天然ガス)プロジェクト(の開発母体)から融資を受けている。「世界情勢がどのように変化しようと、ロシアは原子力砕氷船の建造に関する他国とのオープンな協力関係を維持する」。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ヤクチア号の進水式にオンラインで出席してそう述べた。
「ヤマルLNGプロジェクト」が後押し
北極海航路は、ロシアの北部沿海を通る全長約5000キロメートルの新ルートだ。ヨーロッパと東アジアを(スエズ運河とマラッカ海峡を経由して)結ぶ伝統的な航路と比べ、航行距離を3分の1に短縮できる。
ヤマルLNGプロジェクトは、北極圏のエネルギー開発における中国とロシアの国際協力を象徴する案件だ。2013年から2016年にかけて、中国の国有エネルギー最大手の中国石油天然気(ペトロチャイナ)と国策ファンドのシルクロード基金が同プロジェクトに出資し、前者が20%、後者が9.9%の開発権益を獲得。と同時に、両国は同プロジェクトから年間400万トンのLNGを長期供給・調達することに合意した。
「総額約300億ドル(約4兆1545億円)に上る開発資金の確保は、中国が主な担い手を務めている。ペトロチャイナとシルクロード基金の出資のほか、中国国家開発銀行と中国輸出入銀行が総額120億ドル(約1兆6618億円)の融資を提供する計画だ」。ヤマルLNGプロジェクトの中国側関係者は、財新記者の取材に対してそう述べた。
(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は11月30日
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