中国低価格EC「拼多多」、消費低迷下で独り勝ち 7〜9月期の売上高は65%増、純利益は4倍に

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中国EC市場のユーザー数が飽和に近づくなか、拼多多は逆に業績を伸ばしている(写真は同社ウェブサイトより)

低価格販売が強みの中国の電子商取引(EC)大手、拼多多(ピンドゥオドゥオ)の業績が力強い回復を見せている。

同社が11月28日に発表した2022年7~9月期決算によれば、同四半期の売上高は355億元(約6827億円)と前年同期比65.1%増加。一時損益などを控除した非アメリカ会計基準(Non-GAAP)の純利益は124億4700万元(約2394億円)と、前年同期の4倍に迫る大幅な伸びを記録した。

7~9月期の業績は、アナリストの事前予想の平均値だった売上高309億400万元(約5943億円)、Non-GAAP純利益70億8700万元(約1363億円)を大きく上回るものだった。このサプライズにより、アメリカのナスダックに上場する拼多多のADS(アメリカ預託株式)は急上昇。11月28日の取引の終値は前営業日比12.6%高で引けた。

中国のEC市場では、(スマートフォンの普及とともに増加してきた)モバイルユーザーの総数が飽和に近づき、大手ECサイトのアクティブユーザー数や売上高が伸び悩んでいる。さらに新型コロナウイルスの感染拡大と行動制限が追い打ちをかけ、個人消費の落ち込みが顕著になっている。

そんな状況だけに、拼多多の業績好調はひときわ目立つ。四半期売上高の前年同期比の伸び率は、2021年10~12月期に過去最低の3%まで落ち込んだ後に反転。2022年1~3月期は7%、4~6月期は36%、7~9月期は65%と尻上がりに加速している。

アリババの得意分野にも浸透

EC最大手の阿里巴巴集団(アリババ)の売上高は、前年同期比の伸び率が2022年1~3月期は9%、4~6月期は-0.1%、7~9月期は3%にとどまった。年後半になるほど拼多多がリードを開げている状況だ。

「今年に入ってから、拼多多と新たに協業するブランドが増え続けている。その結果、(もともと強い)生鮮食品だけでなく消費者向けエレクトロニクス製品や化粧品などの分野でも、ユーザーから好評を博している」。拼多多の董事長兼CEO(会長兼最高経営責任者)を務める陳磊氏は、決算説明会でそう自信を示した。

本記事は「財新」の提供記事です

消費者向けエレクトロニクス製品や化粧品は、もともとはアリババの主力ネット通販サイトの「天猫(Tmall)」が得意とする分野だった。

だが、コンサルティング会社の久遠謙長のデータを引用した海通証券のレポートによれば、天猫の化粧品の売上高は7月に前年同月比26%、8月に同35%、9月に同16%それぞれ減少したという。

(財新記者:沈欣悦)
※原文の配信は11月29日

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