低価格販売が強みの中国の電子商取引(EC)大手、拼多多(ピンドゥオドゥオ)は8月29日、2022年4~6月期の決算を発表した。
同四半期の売上高は前年同期比36%増の314億4000万元(約6288億円)、ストックオプション関連費用や長期保有株の時価評価損益などを除いた調整後純利益は前年同期の2.6倍の107億7600万元(2155億円)を計上し、大幅な増収増益を達成した。
決算発表前にブルームバーグが報じたアナリストの業績予想の平均値は、売上高が236億2400万元(約4725億円)、調整後純利益が41億9500万元(約839億円)だった。ところが、実績値がそれらを大きく上回ったことから、アメリカのナスダックに上場している拼多多のADS(アメリカ預託証券)は8月29日の取引開始と同時に急上昇。同日の終値は66.04ドル(約9083円)と、前営業日比14.7%上昇した。
注目すべきなのは、拼多多のライバルである中国のEC最大手の阿里巴巴集団(アリババ)や同2位の京東集団(JDドットコム)は4~6月期の業績が伸び悩み、明暗がくっきり分かれたことだ。アリババの4~6月期の売上高は前年同期比横ばい、京東は同5.4%増にとどまっており、両社ともに上場以降の最低値だった。
消費者心理の変化が追い風に
背景には、中国経済全体の減速に加えて、新型コロナウイルス流行の影響で企業の生産活動や物流に大きな混乱が生じたことがある。高額商品や耐久消費財に対する消費者の購買意欲が低下するなか、生鮮食品などの生活必需品を低価格で提供する拼多多は、アリババや京東よりも消費者ニーズの変化をつかみやすく、より優位に事業を展開できた。
それだけではない。4~6月期の調整後純利益が急増した要因の1つは、赤字の直営事業を思い切って縮小したことだ。4~6月期の直営事業の売上高は5070万元(約10億円)と、前年同期比97%も減少した。
拼多多は2020年、生鮮農産物を自社で仕入れてオンライン販売する「多多買菜(ドゥオドゥオマイツァイ)」をスタートさせ、直営事業の中核に据えた。
だがその後、自社で商品在庫を抱えるリスクやECプラットフォームの出店者との競合を避けるため、戦略を大きく転換。直営事業の縮小に伴い、4~6月期の事業全体の粗利益率は74.7%と前年同期比9ポイント改善した。
(財新記者:沈欣悦)
※原文の配信は8月29日
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