中国の生鮮食品EC(電子商取引)の草分けとして名を馳せた毎日優鮮(ミスフレッシュ)が、実質的に経営破綻してから3カ月余り。 同社は11月14日、2021年の決算報告書を期限より半年遅れで開示した。
毎日優鮮は、スマートフォンのアプリ経由で受注した生鮮食品を顧客にスピード配送するビジネスで急成長し、2021年6月にアメリカのナスダックに上場を果たした。ところが1年余り後の2022年7月末、事業継続が困難になったとして突然サービスを停止。従業員の大部分を解雇していた。
冒頭の決算報告書によれば、2021年12月末時点の従業員数は1925人だったが、現在はわずか55人が残るのみだ。
同社は解雇した従業員への未払い賃金と、商品サプライヤーに対する未払金の支払いが滞ったままになっている。決算報告書によれば2022年10月末時点で、従業員および元従業員が(未払い賃金の支払いを求めて仲裁機関に)提起した労働争議が765件、商品サプライヤーが起こした訴訟が616件あり、支払い請求の総額は8億1270万元(約161億円)に上る。
粉飾疑惑で監査法人が署名拒否
上場企業である毎日優鮮は、本来なら2021年の決算報告書を2022年5月までに開示しなければならなかった。それが半年も遅れたのは、会計監査の過程で業績の粉飾疑惑が浮上したためだ。
財新記者が2つのルートから入手した情報によれば、監査を担当したプライスウォーターハウスクーパースが架空の売上を計上するカラクリを発見し、監査報告書への署名を拒否したという。
この疑惑に対し、毎日優鮮は2022年7月1日、2021年1月から9月までの売上高が14%水増しされていたことを認める社内調査結果を公表した。だが、不正に手を染めた疑いのある従業員はすでに退社し、経営陣が粉飾を指示したり関知したりしていた証拠は見つからなかったとしていた。
今回開示した決算報告書によれば、毎日優鮮の2021年の営業キャッシュフローは25億8900万元(約512億円)のマイナスであり、同年12月末時点の現金および現金同等物は10億9700万元(約217億円)しかなかった。
要するに、新たな資金を手当てしなければ約半年でキャッシュが底をつく状態だったということだ。7月末の突然のサービス中断は、それが現実になったことを示唆している。
(財新記者:胡静怡、沈欣悦)
※原文の配信は11月15日
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