中国の生鮮食品EC(電子商取引)のスタートアップ企業「毎日優鮮(ミスフレッシュ)」と「叮咚買菜(ディンドンマイツァイ)」は6月9日、アメリカ証券取引委員会(SEC)にIPO(新規公開株式)の目論見書を相次いで提出した。毎日優鮮はナスダック、叮咚買菜はニューヨーク証券取引所で上場する予定だ。
生鮮食品のEC業界に詳しい人物によると、この2社はどちらが先に「生鮮食品ECのIPOの第1号」となるか、上場のタイミングを競い合っているという。というのも第1号と第2号では、IPO後の投資家たちの注目度が大きく変わってくるからだ。
叮咚買菜と毎日優鮮は、アプリを通じた注文を受けると、市街地の配送エリアごとに複数設置している「前置倉庫」と呼ばれる小型倉庫から、ユーザーの手元まで直ちに配達する。叮咚買菜は上海から、毎日優鮮は北京から事業をスタートし、どちらも大都市を主なターゲットとしている。
両社とも深刻な赤字状態にある
両社の事業規模を比較すると、叮咚買菜は2020年に毎日優鮮を抜き、生鮮食品ECの首位に立った。直近の2021年1~3月期を見ると、叮咚買菜の売上高は38億200万元(約650億円)と、毎日優鮮の15億3000万元(約262億円)に大きな差をつけている。一方、2020年のユーザー1人当たりの平均購入金額では、毎日優鮮は94.6元(約1618円)と、叮咚買菜の57元(約975円)を大幅に上回っている状況だ。
注目に値するのは、2020年の毎日優鮮の売上高成長率が2.1%にとどまっている点だ。毎日優鮮の経営事情に詳しい人物によると、毎日優鮮は同年に(売上高の成長より損益の改善を優先して)値引き幅を抑え、低価格を求める消費者のリピート率が悪化したのがその理由だという。
両社は商品の調達から配送まで自前で行っており、物流コストがかさんでいる。そのため業績はまだ大幅な赤字で、黒字転換のメドは立っていない。2020年は毎日優鮮が16億4900万元(約282億円)、叮咚買菜が31億7700万元(約543億円)の純損失をそれぞれ計上した。
(財新記者:沈欣悦)
※原文の配信は6月9日
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