5月18日、中国の電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)と投資ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジアが主導するコンソーシアムが、ベトナムの小売企業ザ・クラウンX(エックス)の5.5%の株式を4億ドル(約436億円)で取得したことが明らかになった。
ザ・クラウンXは2020年に、ベトナムのコングロマリット(複合企業)のマサングループ傘下で同国の大手食品・飲料メーカーであるマサン・コンシューマー・ホールディングスと、同国の小売り大手であるビンコマースとの合併で発足した。ベトナム全土で約2300店のコンビニエンスストアとスーパーを展開し、同国の小売市場でのシェアは約50%にも上る。
今回の投資の一環として、ザ・クラウンXはアリババ傘下の東南アジアEC企業であるラザダと提携し、ベトナムでEC事業を展開する。具体的な提携内容としては、ビンコマースがラザダのベトナム向けECサイトに出店し、実店舗の経営のデジタル化と、ECのユーザーを実店舗の集客につなげる施策などを実施、双方が物流プラットフォームを共同で使用する予定となっている。
中国国内のECユーザー数は頭打ち
アリババの東南アジア事業の投資責任者であるケニー・ホー氏は「わが社のECプラットフォームの運営ノウハウを生かすこと、そしてラザダのベトナム向けECプラットフォームと、マサンの実店舗の販売網を連携させることで、ベトナムの小売業界はますます発展していくだろう」とコメントした。
アリババは、中国国内のECユーザー数が頭打ちに近づいているため、海外のユーザーの獲得に力を入れ始めている。同社の海外事業はラザダと全世界向けの卸売りECプラットフォームの全球速売通(アリ・エクスプレス)が2本柱であり、アリ・エクスプレスでは出店するサプライヤーの多くを中国企業が占めている。
アリババの海外事業は昨年から、急成長を続けている。2021年1~3月期の海外事業の売上高は94億9600万元(約1610億円)と前年同期比77%増加。ラザダの1~3月期の受注量は前年同期の2倍を超えた。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は5月19日
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