5月17日、中国ネット配車サービス大手の滴滴出行(ディディ)は国有自動車大手の広州汽車集団傘下で新エネルギー車メーカーである広汽埃安新能源汽車と戦略的提携に合意したと発表した。
(訳注:新エネルギー自動車は中国独自の定義で、電気自動車〈EV〉、燃料電池車〈FCV〉、プラグインハイブリッド車〈PHV〉の3種類を指す。通常のハイブリッド車〈HV〉は含まれない)
両社はスマートカー領域の合弁会社の設立などを検討し、特定の条件下で完全自動運転が可能な「レベル4」以上の自動運転車の量産化を目指す。
具体的には、ディディが自動運転におけるソフトとハードの研究開発を担当、広汽埃安は車両の設計、生産を担う。両社は車両システム、自動運転センサー、システムインテグレーションなど基礎レベルの共同研究を行い、早期量産につなげようとしている。
広汽埃安では現在、新エネルギー車の「Aion」とガソリン車がメインの「トランプチ」という2つのブランドを展開している。広州汽車集団が新エネルギー車の製造に進出したのは、2016年で競合と比べると比較的遅かった。
競合他社は撤退している
その一方で、ディディは2016年に自動運転の研究開発を始め、2019年8月には自動運転部門を独立させて分社化した。さらに2020年6月には上海で一般市民を乗せるテストサービスを開始した。しかし、テスト走行の距離とテスト車両の数はまだ多くはない。(ディディの自動運転に関しては、中国配車サービス「滴滴」540億円調達の狙い、を参照)
ディディのほかにも、ウーバーやリフトなどネット配車サービス企業が続々と自動運転領域に参入したものの、ウーバーとリフトは自動運転車の開発から撤退し、成功事例はいまだにない状態だ。
ディディが既存の自動車メーカーと提携するのは、おもにコスト削減の観点からだ。一方で広汽埃安もディディと提携することで、研究開発の負担を軽減することを望んでいる。急速に変化する自動車業界で、各社は車両の電動化やスマート化を迫られており、巨額の資金を投入しなければならない状況にあるからだ。
(財新記者:銭童)
※原文の配信は5月17日
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