中国のEC(電子商取引)大手、京東集団(JDドットコム)は5月19日、2021年1~3月期決算を発表した。今四半期は、売上高が前年同期比39%増の2032億元(約3兆4422億円)で、アナリストによる事前予想の平均値である1917億元(約3兆2474億円)を上回った。純利益は前年同期の11億元(約186億円)から大幅に増加し36億元(約610億円)を計上した。
1~3月期の決算報告の中でとりわけ目を引くのが、ユーザー数の増加だ。2021年3月末時点で、過去12カ月間のアクティブユーザー数は前年同期比29%増加して5億人に迫り、過去最大の増加幅を記録した。
とはいえ、競争相手である阿里巴巴集団(アリババ)は、2021年3月末時点で過去12カ間のアクティブユーザー数が8億1100万人、拼多多(ピンドゥオドゥオ)は2020年末時点で7億8800万人に達しており、京東集団のユーザー規模はまだ見劣りする。
事業セグメント別の損益に関しては、小売り事業の「京東零售」が73億4000万元(約1243億円)の黒字だったが、物流事業の「京東物流」が14億7000万元(約249億円)の赤字で、共同購買サービスの「京喜(ジンシー)」とインフラ・不動産管理会社の「京東産発」などを含む新規事業も22億8000万元(約386億円)の赤字だった。
内部取引総額は1748億円に及ぶ
ここで注目すべきなのは、「京東物流」と「京東零售」、新規事業に含まれている「京東産発」の間で内部取引が発生している点だ。具体的には「京東物流」からの「京東零售」に対する物流サービスの供与や、「京東産発」から「京東物流」に対する不動産賃貸サービスの供与などがある。これらの内部取引は、連結売上高から相殺消去される。2021年1~3月期における内部取引総額は、103億2000万元(約1748億円)に上った。
京東集団のECプラットフォームでは出店者による商品販売とともに、同社直営の小売事業も行っている。テナントの出店料や、広告代理手数料、物流委託費などの「サービス料収入」は2021年1~3月期は279億元(約4726億円)と、前年同期比73%増加した。その一方で直営小売り事業の成長率は同35%にとどまり、大きく差が開いた。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は5月20日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら