中国のネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)は11月16日、2022年7~9月期の決算を発表した。
同四半期の売上高は1440億9300万元(約2兆8394億円)と、直前の4~6月期より5%増加し、3四半期連続の減収を回避した。しかし、前年同期との比較では2%のマイナスだった。純利益は399億4300万元(約7871億円)と前年同期比1%増加し、若干ながら増益を確保した。
今回の四半期決算のトピックは、テンセントが長期保有してきたネット出前サービス最大手の美団(メイトゥアン)の株式を、特別配当として株主に配布すると発表したことだ。放出する株数は約9億5800万株で、テンセントの保有数の約9割に相当する。
「テンセントと美団の株主構成を俯瞰すると、大株主がかなり重複している。また、わが社は美団への投資からすでに十分な収益を手にした。そこで、美団株を持ち続けるかどうかの判断を株主に委ねたい」。テンセント総裁(社長に相当)の劉熾平氏は決算説明会でそう述べ、さらにこう付け加えた。
「一部の(テンセントの)株主が、(美団株の)保有数を減らすべきだと考えていることは承知している。だが、私を含めた多くの株主は美団の将来を楽観しており、株式の長期保有を望んでいるのではないか」
国内オンラインゲームは7%減収
テンセントの本業に目を移すと、最大の事業セグメントである「付加価値サービス」の売上高は、7~9月期は前年同期比3%減の727億2700万元(約1兆4331億円)だった。
そのうち、中国国内のオンラインゲーム事業の売上高は312億元(約6148億円)と、前年同期比7%減少。四半期ベースで今年最大の落ち込みを記録した。背景には未成年者に対する中国政府のゲーム依存症対策の影響があり、二大タイトルの「王者栄耀(オナー・オブ・キングス)」と「和平精英(ゲーム・フォー・ピース)」の売り上げがそろって減少した。
オンライン広告事業の売上高は、7~9月期は215億元(約4237億円)と前年同期比5%減少した。そんななか、SNS(社交サイト)およびその他分野向けの広告収入は189億元(約3724億円)と1%の減少で踏みとどまった。一部の業種では広告費削減の動きがあるものの、ショート動画向け広告の需要の底堅さが支えになった。
ゲームや広告より相対的に好調だったのが、「フィンテックおよび法人サービス」のセグメントだ。7~9月期の売上高は448億元(約8828億円)と、前年同期比4%の増収を確保した。(スマホ決済のウィーチャットペイを中心とする)資金決済業務の復調を受けて、フィンテックサービスの売上高の成長率は直前の4~6月期を上回った。
(財新記者:関聡)
※原文の配信は11月17日
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