中国の自動車市場の回復に息切れが見え始めた。中国汽車工業協会が11月10日に発表したデータによれば、中国国内で生産された新車の10月の販売台数は250万5000台と、前月比4%減少。前年同月比でも6.9%の増加にとどまった。
10月の販売が振るわなかった要因について、中国汽車工業協会は「新型コロナウイルスの流行が中国各地で頻発した影響を受けた」と解説した。
だが気がかりなのは、2022年6月以降の市場拡大を牽引してきた「新エネルギー車」の販売が、ここに来て勢いを失ったことだ。10月の販売台数は71万4000台と、前月比1%未満の増加にとどまった。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、電気自動車[EV]、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
中国汽車工業協会のデータには、中国で生産されたクルマの輸出台数も含まれている。10月の新エネルギー車の輸出台数は、過去最高の10万9000台を記録した。それを差し引くと、国内販売台数は60万5000台と前月より8%減少したことになる。
背景には新エネルギー車市場の競争激化がある。中国の新興EVメーカー、既存の大手国有メーカー、外資系合弁メーカーが入り乱れて新型車を続々投入し、消費者の目移りを呼んでいる。そこに新型コロナの感染拡大が重なり、有力メーカーでも「作れば売れる」状況ではなくなってきたのだ。
テスラは主力車種を大幅値下げ
例えばテスラは、2022年1月から10月までの新エネルギー車の販売台数で第2位につけているものの、首位の比亜迪(BYD)に差を大きく広げられつつある。そんななか、テスラは10月下旬に主力車種の「モデル3」と「モデルY」の大幅値下げに踏み切り、追撃に打って出た。
(訳注:テスラの値下げに関しては『テスラが中国で人気車種「大幅値下げ」の背景』を参照)
中国の自動車販売業界の団体である乗用車市場信息聯席会のデータによれば、テスラの10月の国内販売台数は1万7200台と、前月の7万7613台の4分の1以下だった。ただし、テスラの販売動向には独特のパターンがある。各四半期の最初の月は輸出を優先し、見かけ上の国内販売台数が減少するが、2カ月目、3カ月目にかけて急速に増加するのだ。このため、テスラの現況を推し量るには11月と12月の販売データを待つ必要がある。
一方、中国メーカーの間では好調と不調の明暗がくっきり分かれつつある。乗用車市場信息聯席会のデータによれば、国有大手の長安汽車は10月に3万2446台の新エネルギー車を販売、民営大手の吉利汽車は同2万8754台を販売し、メーカー別のランキングで第3位と第5位に浮上した。
対照的に、新興EVメーカーの小鵬汽車は10月の販売台数が5101台にとどまり、トップテン圏外の第15位に後退してしまった。
(財新記者:余聡)
※原文の配信は11月10日
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