中国のEV(電気自動車)大手の比亜迪(BYD)は10月28日、2022年7〜9月期の決算を発表した。同四半期の売上高は1170億8000万元(約2兆3770億円)と前年同期の2倍超に増加。一時損益を控除した調整後純利益は53億4000万元(約1084億円)と同10倍超の急拡大を記録した。
目を見張る業績を支えるのは、言うまでもなく「新エネルギー車」の販売好調だ。BYDの2022年1月から9月までの乗用車販売台数は、前年同期の2.6倍を超える118万5000台に達した。同社は3月末でエンジン車の生産を終了しており、販売実績のほとんどが新エネルギー車である。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
なお、1〜9月の累計販売台数において、BYDはアメリカのテスラの90万9000台を抜き去り、販売台数ベースで世界首位のEVメーカーとなった。しかし同じ期間の純利益で比較すると、BYDの93億1000万元(約1890億円)に対してテスラは7倍近い88億7000万ドル(約1兆3054億円)に上り、クルマ1台当たりの利益で大差をつけられているのが実態だ。
「高価格戦略」は成功するか
BYDは中国の新エネルギー車市場でトップメーカーの地位を固め、今後は海外市場の開拓に注力しようとしている。2022年7月以降、日本、ドイツ、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、インドなどの乗用車市場への参入を相次いで発表した。
財新記者の取材によれば、BYDは7700台の車両を積載できる運搬船8隻を、関連会社を通じて造船会社に発注。今後の輸出拡大に備えている。10月には、初の完成車の海外工場をタイに建設することも明らかにした。
注目すべきなのは、BYDが海外市場で「高価格戦略」を採っていることだ。例えば主力セダンの「漢(ハン)」とSUVの「唐(タン)」のヨーロッパ市場向けモデルは、現地での販売価格を7万2000ユーロ(約1056万円)に設定した。これに対し、両モデルの中国での販売価格は最高級グレードでも33万元(約670万円)に届かない。
とはいえ、BYDの海外事業はスタートしたばかりであり、高価格戦略の成否を論じるのは早い。同社の9月の輸出台数は8000台と、前年同月比では5.6倍に増加した。しかし同月の国内販売台数の20万台と比べれば、まだ取るに足らない規模だ。
(財新記者: 戚展寧)
※原文の配信は10月29日
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