中国の電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)が、同社にとって初の完成車の海外工場をタイに建設する。BYDの現地法人が9月8日、タイ最大の工業・物流系デベロッパーであるWHAグループと工場用地の購入などに関わる契約を結んだ。
WHAグループが開発・運営するタイの工業団地には、中国の上海汽車集団や長城汽車、アメリカのフォード、日本のマツダなどの自動車メーカーがすでに進出している。
BYDの説明によれば、タイ工場は2024年に操業を開始し、右ハンドル車を中心に年間約15万台を生産。タイ国内および近隣諸国向けに出荷する計画だ。東南アジアでは(自動車が左側通行の)タイ、インドネシア、マレーシアなどが右ハンドル車の市場となっている。
「工場の建設地にタイを選んだのは、自動車産業の層の厚さと一流の製造能力があるからだ。わが社がタイで生産する『新エネルギー車』が、東南アジアの人々にとってより身近な存在になることを期待している」。BYDのアジア太平洋地区の自動車販売部門を率いる劉学亮氏は、そうコメントした。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
東南アジアのEV市場は急成長
ASEAN自動車連盟のデータによれば、東南アジアの主要市場の自動車販売台数は2021年は合計279万台と、前年比14%増加した。
そんななか、タイ政府は国内の自動車生産に占めるEVの比率を2030年までに30%に引き上げることを計画している。
「タイは東南アジア諸国のなかで最もEVシフトに積極的だ。近い将来には東南アジアのEV製造の中心地になるだろう」。アジア太平洋EV協会のエドモンド・アラガ会長は、財新記者の取材に対してそう述べた。
市場調査会社のリサーチ・アンド・マーケットの予想によれば、東南アジアのEV市場は今後、年率3割を超えるペースで拡大。市場規模は2021年の約5億ドル(約720億円)から、2027年には5.3倍超の26億7000万ドル(約3844億円)に拡大する可能性がある。
(財新記者: 戚展寧)
※原文の配信は9月9日
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