カナダ政府は11月2日、重要な鉱物資源への外国企業の投資を対象とする審査に基づいて、リチウム資源の開発権益を保有するカナダ企業に出資した中国企業3社に対して資本の引き揚げを命じたと発表した。
この命令を受けたのは、中鉱資源集団(シノマイン・リソース・グループ)、盛新鋰能集団(チョンシン・リチウム・グループ)、藏格鉱業(ザング・マイニング)の3社の子会社だ。
「外国企業の投資は『カナダ投資法』に基づき、国家安全保障にかかわる問題の審査を受けなければならない。なかでも重要な鉱業資源に対する投資は、政府の国家安全保障部門および情報機関による一層厳しい審査を受ける必要がある」。カナダ政府のイノベーション・科学経済開発相を務めるフランソワフィリップ・シャンパーニュ氏は、声明の中でそう述べた。
中鉱資源集団は2021年12月、150万カナダドル(約1億6211万円)を投じてカナダの上場企業パワー・メタルズの増資を引き受け、発行済株式の5.72%を取得。さらに、パワー・メタルズが開発権を持つカナダのケース塩湖から産出されるリチウム、セシウム、タンタルの独占的な販売代理権を獲得した。ただし、このプロジェクトはまだ初期段階にあり、資源採掘は始まっていない。
資源開発はいずれも初期段階
盛新鋰能集団は2022年1月、南アメリカで資源開発を手がけるカナダの上場企業リチウム・チリに資本参加。同年4月に追加出資を行い、発行済株式の19.86%を保有する筆頭株主となった。2度の出資に伴う投資額は合計3455万9000カナダドル(約37億3489万円)だ。
リチウム・チリは南アメリカに18カ所の資源開発権を保有しており、そのなかにはチリの12カ所、アルゼンチンの1カ所のリチウム塩湖が含まれている。それらはいずれも試掘段階で、リチウム製品の生産はまだ先だ。
藏格鉱業は2022年2月、カナダの上場企業ウルトラ・リチウムと独占的な戦略提携契約を締結し、アルゼンチンのカタマルカ州にあるラグナベルデ塩湖の共同開発に合意した。しかし、このプロジェクトもまだ初期調査の段階である。
両社は2022年6月、藏格鉱業がウルトラ・リチウムに対して1000万ドル(約14億7317万円)を支払うとともに、ラグナベルデ塩湖の開発会社に対して複数回に分けて総額4000万ドル(約58億9268万円)を出資し、開発会社の経営権の65%を取得する取引に合意していた。
(財新記者:盧羽桐)
※原文の配信は11月3日
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