11月11日、中国のホテルチェーンの亜朶(アトゥール、正式社名は亜朶商業管理集団)がアメリカのナスダックに上場した。
今回のIPO(新規株式公開)で、同社は475万単位のADS(アメリカ預託株式)を1単位当たり11ドル(約1541円)で発行。主幹事証券会社がオーバーアロットメント(追加売り出し)の権利を行使した場合、資金調達額は約6008万7500ドル(約84億円)となる見込みだ。
亜朶は2013年に創業し、中国国内で中高級クラスのホテルをチェーン展開している。IPOの目論見書によれば、2022年9月末現在、151都市で880軒のホテルを運営。2022年1~9月の売上高は前年同期比5.2%増の16億3700万元(約322億円)、純利益は58.4%増の1億7900万元(約35億円)と、新型コロナウイルスの流行下でも増収増益を確保している。
注目に値するのは、同社のIPOの規模が当初計画より大幅に縮小したことだ。亜朶は2021年6月、アメリカ証券取引委員会(SEC)に最初の目論見書を提出。このときは1974万4700単位のADSを1単位当たり13.5~15.5ドル(約1892~2172円)で発行し、2億6700万~3億600万ドル(約374億~429億円)の資金調達を目指していた。
上場と同時に上場廃止リスク
その後、亜朶は複数回の目論見書の改定を経て、17カ月後にようやく上場に漕ぎつけた。だが、アメリカ株式市場への上場を目指す中国企業を取り巻く環境は、その間にがらりと変化した。
なかでも影響が深刻なのが、「外国企業説明責任法」に基づいてSECとアメリカ公開会社会計監査委員会(PCAOB、アメリカの上場企業の監査法人を監督する機関)が策定した細則が、2021年12月から実施に移されたことだ。これにより、PCAOBが検査困難と見なした中国と香港の監査法人が名指しされ、それらの会計監査を受けた中国関連銘柄は順次「上場廃止リスト」に指定されることになった。
その後、2022年8月に米中の証券監督当局がアメリカに上場する中国関連銘柄の監査・監督に関する相互協力に合意したものの、先行きはまだ不透明だ。
上場を果たしたばかりの亜朶も、外国企業説明責任法への抵触による上場廃止リスクと無縁ではない。目論見書によれば、同社の会計監査を担当する監査法人は、PCAOBが検査困難と見なした監査法人のリストに含まれている。
(財新記者:孫嫣然)
※原文の配信は11月12日
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