アジアの国際物流ハブの1つである香港で、輸出の減少が続いている。香港政府の統計局が11月28日に発表したデータによれば、2022年10月の輸出総額は3747億香港ドル(約6兆6408億円)と前年同月比10.4%減少。前年同月比で6カ月連続のマイナスを記録した。
輸出減少の背景について、香港政府の報道官は「経済環境の悪化に加えて、域外との陸上輸送が停滞したため(訳注:隣接する中国本土で新型コロナウイルスの感染が拡大し、香港との境界をまたぐ貨物の流れが滞ったことを指す)」と説明した。
貨物の行き先別では、中国本土、アメリカ、日本向けの輸出額が2桁の下落を記録したのが目立った。具体的には、10月の中国本土向けは12.9%減、アメリカ向けは19.5%減、日本向けは24.1%減だった。
積み替え貨物の半分強が中国から
香港の国際貿易は、世界経済の減速と中国経済の成長鈍化というダブルパンチに見舞われている。香港は中国本土を発着する国際貨物の積み替え拠点としての役割を担っており、2021年に香港を通過した積み替え貨物の半分強は中国本土から運び込まれたものだった。
「主要先進国でのインフレの高止まりと金融引き締めにより、グローバル経済は短期的には需要縮小が続くと見ている。香港の輸出も強い下押し圧力を受け続けるだろう」。香港政府の報道官は、今後について悲観的な見通しを述べた。
民間のシンクタンクも先行きを厳しく見る。香港の大新銀行の経済研究・投資策略部は調査レポートで、「中国経済の成長鈍化が長引いた場合、香港の2022年の輸出総額は前年比5~10%減少する」と予想した。
(財新 駐香港記者:文思敏)
※原文の配信は11月29日
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