中国製造業の景況感の悪化が長引いている。その背景は新型コロナウイルスの感染拡大と行動制限の長期化だ。12月1日に発表された11月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は49.4を記録。前月(49.2)より0.2ポイント上昇したものの、好不況の判断の目安である50を4カ月連続で割り込んだ。
なお、前日に発表された中国国家統計局の調査に基づく製造業PMIは48.0と、前月(49.2)より1.2ポイント低下して2022年5月以降の最低値にまで落ち込んだ。2つのPMIを総合して見ると、製造業の経営環境は依然として厳しい。
11月の製造業の事業活動は、供給側と需要側の双方で縮小が続いた。需要側の指標である新規受注指数は前月より幾分持ち直したが、外需の指標である新規輸出受注指数は、新型コロナの影響にグローバル経済の減速が重なって下げ幅が拡大した。
「雇用促進と内需下支えが急務」
供給と需要が弱含むなか、製造業の雇用は厳しさを増している。11月の雇用指数は拡大基調と縮小基調のボーダーラインを7カ月連続で割り込み、2020年3月以降の最低値を記録した。
調査対象企業によれば、新型コロナ対策の行動制限の影響で多数の労働者が(自宅を出られず)職場に復帰できない状態にある。そのことが、生産活動だけでなく採用活動にもマイナスに作用しているという。
製造業の仕入れ価格の指標である購買価格指数は、金属など原材料価格の値上がりを背景に2カ月連続で上昇。11月は7月以降の最高値を記録した。一方、販売価格の指標である工場出荷価格指数は、需要低迷に対応した値引き販売の影響などで11月もボーダーラインを下回って推移した。
「10月以降、新型コロナの感染が全国各地で拡大し、経済への打撃が拡大している。需要の低迷、供給の寸断、将来不安の高まりという『三重苦』のなかで、雇用が悪化している現状は深刻だ。雇用促進と内需の下支えを図る政策発動が急務と言える」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は12月1日
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