中国では人口の急速な高齢化に伴い、日常生活において他者のサポートを必要とする要介護人口が急増。2030年には、重度の要介護状態にある高齢者の総数が6000万人に近づく――。最新の研究論文で、そんな将来予測が示された。
この予測は、イギリスの医学誌「ランセット・パブリック・ヘルス」で発表された。論文の投稿者は北京大学国家発展研究院の経済学教授、趙耀輝氏を責任著者とする研究チームだ。
論文が予見する未来は厳しい。相対的に軽度の「一級」要介護高齢者は、2021年の2139万人から2030年には38.9%増の2971万人に、中度の「二級」要介護者は同3742万人から31.1%増の同4907万人に、重度の「三級」要介護者は同4650万人から27.6%増の同5932万人に、それぞれ増加するという。
バリアフリー化などの効果もあるが…
上述の要介護度の区分けは、人が日常生活を送るうえで最低限必要な動作を指すADL(日常生活動作)と、より複雑な動作や判断が求められるIADL(手段的日常生活動作)という2つの指標を基準にしている。前者の具体例は入浴、食事、就寝・起床、着替え、排泄など。後者には家事、調理、服薬管理、買い物、財産管理などが含まれる。
要介護状態の一級は、ADLに関して少なくとも1項目が支援を要する状態を意味する。二級はADLの少なくとも1項目またはIADLの調理、買い物、服薬管理が支援を要する状態、三級はADLの少なくとも1項目またはIADLの全項目が支援を要する状態を指す。
趙教授らの研究では、(高齢者が過去に受けた)教育水準の向上やバリアフリー型の居住環境の整備、医療サービスの改善などを通じて、要介護状態になる高齢者の比率を効果的に下げられることも示された。
だが、中国では人口の高齢化のスピードが上述の改善効果を凌駕するため、2030年に向けて要介護状態の高齢者が急増する可能性が高いと警鐘を鳴らしている。
(財新記者:黄蕙昭)
※原文の配信は11月25日
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