中国とヨーロッパを結ぶ国際貨物列車「中欧班列」の運賃が急落している。財新の取材に応じた上海の複数の物流企業によれば、中国の起点の1つである浙江省義烏市からドイツのハンブルクまでの運賃は、5月下旬時点で40フィートコンテナ1本当たり約6000ドル(約82万8396円)。以前の同約8000ドル(約110万4528円)から25%も下がった。
ヨーロッパ行きと同時に、ロシア行きの運賃も値崩れしている。同じく上海の物流業界関係者によれば、華東地区からロシアのモスクワまでの運賃は、以前の40フィートコンテナ1本当たり8000~9000ドル(約110万~124万円)から同7000~8000ドル(約97万~110万円)に下落しているという。
中欧班列は2011年から運航を開始。中国各地のターミナルを出発した貨物列車は、新疆ウイグル自治区とカザフスタンの国境を越える西ルート、内モンゴル自治区とモンゴルの国境を越える中央ルート、内モンゴル自治区とロシア東部の国境を越える東ルートなどを通ってヨーロッパに向かう。
それらのいずれのルートでも、ロシアは中欧班列の経由地、貨物の積み替え地であると同時に、主要な目的地の1つでもあった。
(訳注:中国とロシアの鉄道は線路の幅が異なるため、列車の直通運転はできず、国境で貨物を積み替える必要がある)
2023年はロシア行きが9割
そんななか、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、中欧班列の貨物の流れは大きく変化した。ロシアが(西側諸国の経済制裁の影響を減らすため)輸入物資の輸送ルートを中国経由に大きくシフトさせたためだ。
この動きに伴って中欧班列の貨物輸送量は急増。ロシア東部の国境検査場では、さばききれない大量の貨物が滞留する事態も生じた。中国の国有鉄道である中国国家鉄路集団のデータによれば、2023年1~3月期の中欧班列の貨物輸送量は44万9000TEU(20フィートコンテナ換算)と、前年同期比28%増加した。
と同時に、行き先別の貨物の比率もロシア向けが大幅に高まった。前出の業界関係者によれば、2021年の時点ではロシア向けは全体の半分に満たなかったが、2022年後半には8割に増加し、2023年に入ってからは9割を超えたという。
しかし戦争の長期化とともにロシアの経済活動が萎縮し、ロシア行きの中欧班列の需要増加はピークを過ぎた。ヨーロッパ行きの需要も低迷が続いており、中国の物流企業は今や受注集めに苦労している。この風向きの変化こそ、最近の運賃急落の背景にほかならない。
(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は5月19日
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