米政府「対ロシア禁輸措置」の抜け穴を塞げるか 中国企業12社をエンティティーリストに追加

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アメリカ政府は半導体などの第三国からロシアへの再輸出に神経を尖らせている(写真は米商務省のウェブサイトより)

アメリカ商務省の産業安全保障局 (BIS) は4月12日、新たに中国企業12社を「エンティティーリスト」(訳注:アメリカの国家安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリスト)に追加すると発表した。

BISの主張によれば、これら12社は輸出規制の対象のアメリカ製品を取得または取得しようと試み、ロシアの軍事活動を支援したという。また12社の一部については、ロシアがウクライナ侵攻を開始した後にアメリカ政府が制裁または輸出規制を課したロシア企業の隠れ蓑になり、アメリカ製品の調達を代行したとしている。

アメリカ輸出管理規則(EAR)が定める製品や技術を、アメリカ企業がエンティティーリストに列挙された外国企業に対して輸出、再輸出、譲渡しようとする場合、BISに許可を申請しなければならない。それに対して、BISは「原則不許可」の方針で審査する。

別会社設立で規制回避との見方

注目すべきなのは、エンティティーリストに追加された中国企業12社が、いずれも広東省深圳市や香港に拠点を置く電子部品商社だったことだ。

ロシアとウクライナの戦争が続くなか、アメリカ政府は(軍事用途に転用できる半導体などの)第三国からロシアへの再輸出に神経を尖らせている。BISは2月24日にも、中国企業5社を「ロシア軍部を支援した」との理由でエンティティーリストに加えた。そのうち3社は電子部品商社で、2社は航空宇宙関連の企業だった。

本記事は「財新」の提供記事です

しかし市場関係者の間では、エンティティーリストに基づくアメリカ政府の禁輸措置は実効性に欠けるとの見方が少なくない。リストに指定された企業は別会社を設立することで、規制をかいくぐり続けることが可能だからだ。

(財新記者:杜知航)
※原文の配信は4月13日

財新 Biz&Tech

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