アメリカ商務省の産業安全保障局(BIS)は2月24日、中国企業5社をエンティティーリスト(訳注:アメリカの国家安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリスト)に追加すると発表した。
BISの主張によれば、これらの中国企業はロシアの軍事産業に協力し、アメリカの外交および国家安全保障政策の利益に反する行為をしたという。
5社の具体的な社名は、澳凱電子科技(AOOKテクノロジー)、天泰科技発展(タイテック・サイエンス・テクノロジー)、昀澤科技(ユンゼ・テクノロジー)、和德宇航技術(ヘッド・アエロスペース・テクノロジー)、天儀空間科技研究院(スペースティー)だ。
アメリカ輸出管理規則(EAR)が定めた製品や技術をアメリカ企業が輸出する場合、輸出先がエンティティーリストに指定された外国企業であるケースでは、BISに輸出許可を申請しなければならない。それに対して、BISは「原則不許可」の方針で審査することになっている。
超小型人工衛星の開発企業も
今回追加された中国企業5社のうち、澳凱電子科技、天泰科技発展、昀澤科技の3社は電子機器や部品の貿易を手がける商社だ。一方、和德宇航技術と天儀空間科技研究院の2社は航空宇宙産業の企業である。
なかでも天儀空間科技研究院は、超小型人工衛星の開発企業として知られている。顧客のニーズに応じた超小型人工衛星を低コスト・短納期で開発し、衛星によるデータの収集や分析などのソリューションをワンストップで提供。中国の宇宙開発計画を担う航天科技集団や理工系最高学府の清華大学を含む、数多くの研究機関、大学、企業を顧客に持つ。
今回のエンティティーリスト追加に先立つ1月26日には、アメリカ財務省も天儀空間科技研究院に対する制裁を発表。同社がロシアの軍事産業に協力したとし、アメリカ国内にある天儀空間科技研究院の資産を凍結するとともに、アメリカの個人や企業が同社に協力することや、資金、物資、サービスを提供することを禁じた。
これに対して、天儀空間科技研究院は1月29日に声明を発表。過去の契約や資金移動の記録を精査した結果、ロシアの衛星データサービス企業のテラテックや民間軍事企業ワグネルとの取引はなかったと反論した。
(財新記者:杜知航)
※原文の配信は2月25日
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