中国では、ゼロコロナ政策の緩和後に生じた新型コロナウイルスの大流行がピークを過ぎ、経済活動が徐々に正常化している。それに伴い、製造業の景況感がはっきり好転してきた。
3月1日に発表された2023年2月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は51.6と、前月(49.2)より2.4ポイント上昇。好不況の判断の目安である50を7カ月ぶりに上回った。
2月の製造業の事業活動は、供給側と需要側の双方が(前月までの縮小から)拡大に転じた。供給側の指標である生産指数は6カ月ぶり、需要側の指標である新規受注指数は7カ月ぶりに、拡大基調と縮小基調のボーダーラインを上抜けし、需給の歯車が噛み合った好循環を示している。
調査対象企業からは、防疫対策の緩和によって生産活動への支障がなくなり、顧客の需要も戻るなか、「生産と販売がそろって回復した」との声が寄せられた。
積極的な雇用拡大に転換
特筆すべきなのは、2月に入って製造業の多くが積極的な雇用拡大に動き出したことだ。2月の雇用指数は10カ月間続いた縮小基調に終止符を打って拡大基調に転換、2021年7月以降の最高値を記録した。
調査対象企業からは、積極雇用は目の前の需給回復に対応するだけでなく、「将来のさらなる景気回復に備えるため」との声が聞かれた。
景況感の大幅な改善を背景に、製造業の経営者の向こう12カ月間の楽観度を示す指数は2021年4月以降の最高値をつけ、長期平均線を上抜けした。経営者の多くは、経済活動の正常化とともに、今後数カ月間は生産・販売の拡大が続くと予想している。
「2月の景況感の好転は、中国経済が『ポスト新型コロナ』の回復過程に入ったことを示している。とはいえ、コロナ禍の影響は広範囲に及んでおり、景気回復の基盤はまだ強固とは言えない。経済・社会活動の完全な正常化には一定の時間がかかるだろう」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は3月1日
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