「海外のヘッジファンドは最近、中国株の持ち高を大幅に増やした。しかし海外のロングオンリーファンドは、中国株式市場の先行きに依然懸念を抱いている」――。
アメリカの投資銀行大手のゴールドマン・サックスで中国株投資のチーフ・ストラテジストを務める劉勁津氏は、2月21日に香港で開催された国際経済フォーラムでそんな見解を示した。
(訳注:ロングオンリーは、株式や債券を買い持ち[ロングポジション]だけで運用し、空売りをしない伝統的な投資手法)
劉氏によれば、海外のヘッジファンドは中国株への投資に関して中国国内の投資家よりもむしろ楽観的だ。ゴールドマン・サックスのヘッジファンドの顧客が保有する全株式に占める中国株の比率は、過去3カ月間で7%から14%に倍増し、過去最高レベルに達したという。
それとは対照的に、ロングオンリーファンドは中国株に対して保守的なスタンスをとり続けている。(ゴールドマン・サックスの顧客である)ロングオンリーファンドの全保有株に占める中国株の比率は、直近では「過去の平均値より4.2ポイント低い水準にある」と、劉氏は明かした。
企業評価額より収益力に注目
その背景には、ロングオンリー・ファンドが抱く「3つの不安」があると、劉氏は指摘する。第1は、米中関係の緊張と地政学的リスクの高まり。第2は、中国の不動産市場の回復が「L字型」(訳注:市況の底から横ばいが続くパターン)になると見込まれていること。第3は、インターネット業界に対する中国政府の締め付けの緩和について、政策の持続性が不透明であることだ。
そのうち不動産市場の先行きに関して、ゴールドマン・サックスの中国担当エコノミストの閃輝氏は、「中国の長期的な人口動態は増加トレンドではない。それを考慮すれば、不動産市場の回復はL字型にならざるを得ず、V字回復は期待できない」と率直に指摘した。
また、ネット関連株の今後について、前出の劉氏は次のように指摘した。
「中国のIT・メディア関連株の直近の評価額は、過去の平均値より低い水準にあり、(株価の回復による)上方修正の余地がある。だが、海外の機関投資家がいま注目しているのは、数カ月から半年間で着実な投資リターンを生み出す収益力だ。(長期的な成長力に期待した)評価額の上方修正への関心は高くない」
(財新 駐香港記者:王小青)
※原文の配信は2月21日
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