中国の半導体受託製造(ファウンドリー)最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)の業績に黄信号が灯った。
同社は2月9日、2022年10~12月期の四半期決算および2022年の通期決算を発表した。それによれば、10~12月期の売上高は16億2100万ドル(約2127億円)と前年同期比では2.6%増加したものの、直前の2022年7~9月期との比較では15.0%減少した。また、10~12月期の純利益は3億8600万ドル(約506億円)と前年同期比27.8%減少、7~9月期比では18.1%減少した。
2022年の通期売上高は前年比33.6%増の72億7300万ドル(約9542億円)となり、2年連続で3割超の成長を達成した。一方、通期純利益は18億1800万ドル(約2385億円)と、同6.8%の増加にとどまった。
SMICの説明によれば、10~12月期の売上高が7~9月期より落ち込んだ主因は、設備稼働率の低下と半導体の販売量の減少だ。設備稼働率は2022年通期では92%だったが、10~12月期に限れば79.5%に低下した。
スマホ向けの落ち込みが深刻
「2022年はスマートフォン、コンピューター、家電製品などの(消費者の)需要が冷え込み、顧客(であるスマホメーカーなど)の購買意欲が顕著に下がった。エレクトロニクス産業のサプライチェーンは(半導体の)供給不足から在庫消化の局面に変わった」。SMICの共同CEO(最高経営責任者)を務める趙海軍氏は、2月10日の決算説明会でそう述べた。
趙氏はさらに、(ロシアのウクライナ侵攻やアメリカの対中半導体輸出規制などの)地政学的な情勢変化が半導体産業のグローバルな分業体制に多大な影響を与え、「半導体産業はかつてなく厳しい状況に直面している」との見方を示した。
なかでも低迷が目立つのがスマートフォン向けの半導体だ。SMICの10~12月期の総売上高に占めるスマホ向け半導体の比率は28.6%と、前年同期比2.6ポイント低下した。「通常ならスマホ向けの比率は35~45%であり、深刻な落ち込みだ」と、趙氏はコメントした。
なお、2023年1~3月期の業績について、SMICは売上高が2022年10~12月期から10~12%減少すると予想する。また、2023年の通期売上高については、経営環境が比較的安定しているという前提でも、前年比2桁台前半の減少を見込んでいる。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は2月10日
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