半導体の受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は1月12日、2022年10~12月期の四半期決算と2022年の通期決算を発表した。それによれば、10~12月期の四半期売上高は前年同期比42.8%増の6255億3000万台湾ドル(約2兆7202億円)、純利益は同78%増の2959億台湾ドル(約1兆2867億円)と、大幅な増収増益を記録した。
しかし、この業績は市場の期待値には届かなかった。決算発表前にアメリカのアナリストが予想したドル換算の四半期売上高の平均値は205億6000万ドル(約2兆7228億円)。それに対して実績値は同199億3000万ドルにとどまったからだ。
同じくドル換算の四半期売上高は、前年同期比ではプラスだったものの、直前の2022年7~9月期との比較では1.5%のマイナスだった。その原因についてTSMCのCFO(最高財務責任者)を務める黄仁昭氏は、「市場の最終需要の低迷と顧客(である電子機器メーカー)の在庫調整が影響した」と業績発表会で説明した。
1~3月期の売上高は2桁減も
2022年の通期決算に目を移すと、年間売上高は前年比42.6%増の2兆2600億台湾ドル(約9兆8278億円)、純利益は同70.4%増の1兆200億台湾ドル(約4兆4355億円)に達した。この業績について黄CFOは、「為替レート(訳注:アメリカドルに対する台湾ドル安)の要素に加えて、営業努力とコスト低減活動を重ねた成果だ。しかしそれらの(プラス要因の)一部は、設備稼働率の低下により相殺されてしまった」とコメントした。
半導体のグローバル市場では、2022年前半からの(ロシアのウクライナ侵攻や中国での新型コロナウイルスの感染拡大などの影響による)経済環境全体の悪化を受けて、(半導体が組み込まれた)消費者向け電子機器の需要が低迷。サプライチェーンの上流にある半導体メーカーにも不況の波が徐々に伝わり、株価が軒並み下落している。
TSMCも例外ではない。アメリカのニューヨーク証券取引所に上場する同社のADR(アメリカ預託証券)は1月11日の終値が81.78ドルと、1年前より約4割安い水準に落ち込んでいる。
なお、同社は2023年1~3月期の四半期売上高について167億~175億ドル(約2兆2116億~2兆3176億円)との予想を示した。仮に実績がその中間値だった場合、1~3月期の売上高は2022年10~12月期より14.2%減少する計算だ。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は1月12日
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