ホンダが中国市場に「電動自転車」投入する狙い エンジン2輪車に固執すれば事業の縮小必至

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ホンダの中国市場向け電動自転車は、往年の原付バイクをモチーフにデザインされた(写真はホンダ中国法人のウェブサイトより)

自動2輪車世界最大手のホンダは1月10日、中国市場における電動バイクの新ブランド「Honda e:」を発表するとともに、同ブランドの新型電動自転車3モデルをお披露目した。

ホンダは2025年までに全世界で10車種以上の電動バイクを投入する計画で、上述の3車種もそこに含まれている。関係者によれば、3車種のうち2車種は上海市にある合弁会社の新大洲本田摩托(新大洲ホンダ)が、もう1車種は広東省広州市にある合弁会社の五羊本田摩托広州(五羊ホンダ)が生産を担当する。

日本経済新聞の報道によれば、ホンダの2021年度の自動2輪車販売台数は約1700万台に達し、グローバル市場で3割のシェアを握っている。なかでも東南アジアとインドはホンダの金城湯池であり、両市場での販売台数はグローバル販売台数の6割を超える。

ホンダにとって、中国は東南アジアとインドに次ぐ大市場だ。販売台数はグローバル販売台数の3割に迫る。ただ、同社が生産・販売する2輪車は今もエンジン式がほとんどであり、電動式はごくわずかだった。

高価格路線は受け入れられるか

中国では、大都市を中心にエンジンで走行する2輪車の走行が規制されているため、すでに電動バイクが広く普及している。なかでも(運転免許が不要で)価格が安い電動自転車は、市民の手軽な足として人気が高まっている。ホンダにとっては、エンジン車に固執し続ければ中国での2輪車事業の縮小が避けられない情勢だった。

(訳注:中国の電動自転車は国家規格で「最高時速25キロメートル以下、車体重量55キログラム以下、ペダルによる人力走行が可能」などの条件が定められ、ナンバープレートの取得も義務づけられている)

そんななか、ホンダは2021年に五羊ホンダから「5H-e」シリーズの電動バイクを投入し、手応えを得た。業界団体の広東省電動車商会の藍世有会長によれば、2022年に広州市だけで6万台以上が売れたという。

本記事は「財新」の提供記事です

とはいえ中国メーカーの電動バイクと比べると、ホンダの価格は大幅に高い。今回発表した電動自転車の希望価格は3車種とも6000元(約11万6900円)前後であり、多くの消費者に受け入れられるかどうかは未知数だ。

一方、中国の上場電動バイク大手の決算報告書などによれば、雅迪集団(ヤディア)の電動自転車の平均価格は1265元(約2万4600円)、愛瑪科技集団(アイマ)は同1427元(約2万7800円)、高級路線の小牛電動(NIU)でも同2959元(約5万7600円)となっている。

(財新記者:方祖望)
※原文の配信は1月11日

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