日産の中国合弁、「中国発の自動運転技術」を採用 「啓辰」ブランドに地平線機器人のシステム搭載

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東風日産は「啓辰」ブランドで中国市場専用のEVを複数展開している。写真はその1つの「T60EV」(啓辰のウェブサイトより)

日本の日産自動車と中国の東風汽車集団の合弁会社が、中国のAI(人工知能)スタートアップ企業、地平線機器人技術研発(ホライゾン・ロボティクス)の自動運転技術を採用することがわかった。2022年12月30日、地平線機器人が東風日産乗用車との提携合意を発表した。

提携の対象となるのは東風日産のサブブランドの「啓辰(ヴェヌーシア)」だ。地平線機器人によれば、同社が開発した自動運転向けAIプロセッサー「征程3」および画像処理ソリューション「マトリックス・モノ3」を組み込んだ高度運転支援システムを、啓辰ブランドの複数のモデルに搭載する。最初の車種は2023年に発売する計画だ。

2015年創業の地平線機器人は、自社開発した自動運転向けプロセッサーの量産にこぎ着けた数少ない中国企業の1社だ。同社のシステムは、2020年に国有自動車大手の長安汽車が初採用。その後、新興EV(電気自動車)メーカーの理想汽車、国有大手の上海汽車集団、EV大手の比亜迪(BYD)などの中国メーカーと次々に提携を実現してきた。

外資系メーカーの提携戦略に変化

一方、外資系自動車メーカーの間では、自動運転技術の提携先はモービルアイ、クアルコム、エヌビディアなどの海外サプライヤーがほとんどだった。しかし、この状況はいま変わり始めている。自動運転技術に詳しい業界関係者によれば、地平線機器人はサービスのレスポンスや(自動車メーカーの要望に柔軟に応じる)オープンさにおいて、海外サプライヤーを凌駕しているという。

中国の自動車市場では近年、クルマのEVシフトや(自動運転技術に代表される)スマート化の流れが加速している。そんななか、日系自動車メーカーは変化への対応で中国メーカーに後れを取った。中国ではエンジン車の市場がすでに縮小しており、東風日産は自己変革への強いプレッシャーにさらされている。

東風日産の2022年1月から11月までの販売台数は83万1000台と、前年同期比18.6%減少した。そのうち啓辰ブランドは1割程度にすぎないが、EVの販売台数に限れば、主力の日産ブランドより啓辰のほうが多かった。

本記事は「財新」の提供記事です

EVで巻き返しを図るべく、東風日産は2022年9月に新型車「アリア」を日産ブランドで投入。これまでに1000台余りを販売した。啓辰のブランド力は日産ブランドに見劣りすることを考えると、今回の地平線機器人との提携は「先行テスト」の意味合いが大きいのかもしれない。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は2022年12月30日

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