中国政府が(ゼロコロナ政策の緩和に伴い)1月8日から一般市民の海外旅行を解禁したことを受け、中国人観光客の回復に期待する東南アジアのタイで歓迎ムードが高まっている。
1月9日、解禁後の初の直行便が300人近い中国人観光客を乗せてバンコクのスワンナプーム国際空港に着陸すると、到着ロビーではタイ政府のアヌティン副首相兼保健相、サックサヤーム運輸相、ピパット観光・スポーツ相らが満面の笑顔で出迎えた。
タイ政府は今回の制限緩和の前から、中国人観光客の受け入れ再開に強い意欲を示していた。例えば現地紙の報道によれば、タイ保健省と観光・スポーツ省は、タイを訪れる外国人が新型コロナウイルス用のワクチンを安価に接種できるサービスの提供を検討している。これは事実上、中国人観光客の利用を念頭に置いた取り組みだ(訳注:中国本土では海外製ワクチンの使用がまだ承認されていない)。
新型コロナの世界的大流行の前まで、観光業はタイの経済成長を支える重要な柱の1つだった。しかしパンデミックが発生すると、タイの観光収入の6割を占めていた外国人観光客からの収入が消失し、観光業界はどん底の苦況に突き落とされた。
陰性証明書の提示を求めず
タイの観光業にようやく光明が差したのは2022年7月、タイ政府が外国人観光客の入国前の事前登録と保険加入義務を廃止したのがきっかけだった。その後、外国人観光客からの収入は目に見えて回復し始めた。
だが、外国人観光客のなかで最も大きな比率を占めていた中国人観光客の増加は(中国側の出国制限のために)遅れていた。タイ政府の統計によれば、2019年にタイを訪問した中国人入国者数は延べ1099万7400人と、外国人入国者の総数の27.6%に上っていた。だが、2022年1月から11月までの中国人入国者数は延べ21万9400人にとどまった。
中国がゼロコロナ政策を緩和して以降、複数の国では中国からの入国者に対して(新型コロナの)陰性証明書の提示を義務付けている。しかしタイ保健省疾病管理局は、陰性証明書の提示は不要であるとの判断を下した。ただしワクチン接種証明書の提示は引き続き求められる。
なお、2022年7月から11月までの統計を見ると、タイを訪れた外国人観光客の人数は、新型コロナ発生前の2019年の6割弱までしか戻っていない。仮に中国人観光客が今後大幅に増えたとしても、タイの観光業の完全復活にはまだそうとうな時間がかかりそうだ。
(財新記者:蘇雪妮)
※原文の配信は1月10日
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