広州モーターショー、延期から「一転開催」の背景 ゼロコロナ解除後の中国で、初の大型ショーに

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広州モーターショーの開催は、ゼロコロナ解除後の経済再開の起爆剤となるか(写真は同ショーの公式ウェブサイトより)

中国の5大モーターショーの1つである広州モーターショー(正式名称は広州国際汽車展覧会)が、2022年12月30日から2023年1月8日まで開催されることが決まった。12月13日、同ショーの(主催団体である)組織委員会が日程を正式に発表した。

これにより、広州モーターショーは中国政府が新型コロナウイルスの防疫対策を緩和して以降、初めて開催される大型自動車展示会となる。

2022年の広州モーターショーは、もともとは11月18日から27日までの開催を予定していた。しかし、10月下旬から広州で新型コロナの感染が拡大したため、組織委員会は11月4日に延期を発表していた。

その後、中国政府が11月末から感染対策の緩和に動き出し、広州市民の行動制限は段階的に解除された。企業の操業も続々再開し、広州モーターショーを開催するための下地が整った。

メーカーの出展意欲は低調

「広州モーターショーの開催を通じて、経済活動の正常化を促進し、自動車業界を元気づけ、消費を刺激し、企業の操業再開を加速させたい」。日程発表の声明のなかで、組織委員会はそんな意気込みを示した。

だが、自動車メーカーの出展意欲は例年ほど高くないのが実態だ。背景には複数の要因がある。その1つは準備期間の短さで、開催を発表した12月13日からショーの開幕日までわずか17日しかない。

「わが社は出展しない可能性が高い」。財新記者の取材に応じたある外資系メーカーの担当者は、そう率直に語った。このメーカーでは、もともと広州モーターショーの11月開催に合わせて新型車を発表する計画だった。しかし開催延期を受けて、すでに別の場で発表してしまったためだ。

行動制限の緩和後、新型コロナの市中感染が急激に増加していることも、自動車メーカーの出展意欲に冷水を浴びせている。

本記事は「財新」の提供記事です

「会社の同僚が次々に感染し、勤務はリモートに切り替わった。広州モーターショーの開催期間に(展示ブースの)スタッフやコンパニオンを集められるのか。いざ開催というタイミングに、世間のムードはどうなっているのか。まったく予想がつかない」。広州に本拠を置くある自動車メーカーの関係者は、そう表情を曇らせた。

(財新記者:戚展寧)
※原文の配信は12月13日

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