中国では政府の「ゼロコロナ」政策の緩和をきっかけに、サービス業の景気回復への期待感が高まっている。
1月5日に発表された2022年12月の財新中国サービス業経営活動指数(サービス業PMI)は48.0と、前月(46.7)より1.3ポイント上昇した。とはいえ、指数の絶対水準は好不況の目安とされる50を4カ月連続で割り込んでおり、回復基調はまだ確かとは言いがたい。
一方、2日前の1月3日に発表された2022年12月の財新中国製造業PMIは49.0と、前月(49.4)より0.4ポイント低下した。サービス業と製造業のPMIが相反する動きを示した格好だ。ゼロコロナ緩和の影響の受け止め方が、サービス業では製造業よりポジティブである表れだろう。
また、2022年12月31日に発表された中国国家統計局の調査に基づくサービス業PMIは39.4と、前月比5.7ポイントの大幅な下落を記録し、財新の調査とは真逆の結果になった。このことは、調査対象企業の違いなどにより、同じサービス業のなかでも(ゼロコロナ緩和の)受け止め方に落差がある可能性を示唆している。
雇用は厳しい冷え込み続く
景気低迷の長期化で、サービス業の雇用は厳しい冷え込みが続いている。2022年12月の雇用指数は前月より若干改善したものの、拡大基調と縮小基調のボーダーラインを割り込んで推移した。調査対象企業からは、新型コロナの感染拡大の影響で(農村部出身の出稼ぎ労働者を中心に)従業員の離職が増えているとの声が寄せられた。
原材料費や人件費、光熱費などの高止まりにより、サービス業は引き続きコスト上昇圧力にさらされている。企業はコスト上昇分のサービス価格への転嫁を図っているが、需要の弱さが制約となり十分な値上げが難しい。そのような実態を背景に、販売価格の指標であるサービス提供価格指数は過去4カ月間の最低値に落ち込んだ。
そんななか明るい材料と言えるのが、ゼロコロナ政策の緩和がサービス企業の経営者の自信を大きく回復させたことだ。経営者の向こう12カ月間の楽観度を示す指数は、2022年12月は同年8月以降の最高値を記録した。
経営者の多くは、新型コロナの感染拡大のピークアウトとともに景気は回復に向かうと予想している。と同時に、新規投資の再開や政府の景気テコ入れ策の浮揚効果に期待する声が増えている。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は1月5日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら