アメリカのEV大手テスラが、上海工場の操業を2022年末に一時休止することがわかった。期間は1週間。「計画的に実施している(生産設備の)年次メンテナンスだ。その間、組み立てラインの従業員は休業する」。テスラ中国法人の担当者は、財新記者の問い合わせに対してそう回答した。
テスラの完成車工場は上海のほか、アメリカのカリフォルニア州、テキサス州、ネバダ州、ドイツのベルリンにある。そのなかで、上海工場は最大の生産能力を誇る。
上海工場は2019年10月に完成し、主力車種の「モデル3」と「モデルY」を生産している。当初の生産能力は年間50万台だったが、その後の拡張工事により、現在は年間100万台以上の生産が可能とされる。
ところが、テスラの生産能力はここにきて市場の需要を上回り始めた。中国汽車工業協会が2022年12月9日に発表したデータによれば、同年11月の中国の新車販売台数は前月比7.1%減少。EVを中心とする「新エネルギー車」の販売はまだ伸びているものの、前月比の増加率は10.1%にとどまり、失速感が否めない。
株価は最高値から6割下落
テスラの2022年1月から9月までのグローバル販売台数は90万8500台と、前年同期比44.8%増加した。同社は2022年の通年の販売台数を前年比50%増やす目標を掲げており、10~12月期に追い込みをかけるもくろみだった。
目標達成に向けて、テスラは2022年9月以降に中国市場で4回の値下げを実施。アメリカ市場でも12月に2回の値下げを行った。にもかかわらず、テスラ車の販売は思うように伸びていない。
資本市場は同社の先行きに警鐘を鳴らしている。生産能力に対する需要不足に加えて、カリスマ創業者のイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)がツイッターを買収したため、テスラの経営に集中できる時間が足りないとみられるためだ。テスラの株価は2022年9月をピークに値下がりに転じ、12月23日の終値は123.15ドル(約1万6353円)と最高値から6割も落ち込んでいる。
2022年12月上旬には、テスラの中国事業の責任者である朱暁彤(トム・チュー)氏が、マスク氏の後任のCEOに就任するという噂がネット上を駆け巡った。それに対し、テスラとマスク氏は一切のコメントを避けている。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は2022年12月26日
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