ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン・グループ(VW)は、中国の工場で生産したEV(電気自動車)をヨーロッパを含む海外市場に輸出する。その第1弾は、グループ傘下のスペインのセアトが展開するサブブランド「クプラ(CUPRA)」の新型EV「タバスカン」だ。2022年12月14日、VW中国法人が財新記者の取材に対して事実を認めた。
タバスカンは、VWが開発した次世代のEV用プラットフォーム「MEB」をベースに設計されている。中国はいまやEVの開発と生産において世界をリードする存在であり、VWの安徽省の工場はすでにMEBベースの車両の生産に対応済みだ。同社は今後、この工場をグループのEVの一大生産拠点に育てようとしている。
VWは長年、国有自動車大手の第一汽車集団との合弁会社である「一汽VW」と、同じく上海汽車集団との合弁会社の「上海VW」の2社を中心に中国事業を展開してきた。そして2017年、EV専業の3社目の合弁会社を安徽省の国有中堅メーカーの江淮汽車と(折半出資で)設立。2020年5月には合弁会社への出資比率を75%に引き上げ、経営権を握った。
テスラやルノーも中国から輸出
現時点では、VWがクプラ・ブランドのクルマを中国市場に導入する計画はない。つまり、安徽工場で生産されるクプラ車は、すべて輸出に回ることになる。
外資系の自動車メーカーが、中国で生産したEVを輸出するのはこれが初ではない。例えば、アメリカのテスラは主力車種の「モデル3」や「モデルY」を、ドイツのBMWは「iX3」を、フランスのルノーは傘下の「ダチア(Dacia)」ブランドの「スプリング」を中国で生産して輸出している。
エンジン車が主流だった時代には、外資系メーカーは中国で生産したクルマを中国市場だけで売るのが通例だった。しかしEVへのシフトが本格化するにつれ、EVの要素技術がそろっている中国の生産拠点としての魅力が高まっている。
今後はメルセデス・ベンツが「スマート(Smart)」ブランドのEVを、BMWが「ミニ(MINI)」ブランドのEVを中国で生産し、ヨーロッパ市場に輸出する計画だ。
(財新記者:余聡)
※原文の配信は12月15日
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