中国のEV(電気自動車)大手の比亜迪(BYD)は11月23日、ほとんどの車種の希望小売価格を2023年1月1日から2000~6000元(約3万9600~11万8800円)値上げすると発表した。
その理由についてBYDは、「新エネルギー車」の普及を後押しする中国政府の補助金が2022年末をもって廃止されることと、2022年後半に車載電池の原材料の価格が急上昇したことを挙げた。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
消費者が新エネルギー車を購入する際に支給される補助金の廃止は、ここにきて急に決まった話ではない。中国財政省など関係4省庁は2021年末、補助金制度を同年12月31日に終了すると通達済みだった。ただし、新エネルギー車に対する自動車取得税の免除は今後も継続される。
だが、中国の新エネルギー車市場の最新状況を鑑みると、BYDの値上げはひとつの「賭け」と言えそうだ。なぜなら今秋以降、新エネルギー車の販売の頭打ちが鮮明になっているからだ。
テスラの値下げに競合が追随
中国汽車流通協会のデータによれば、2022年10月の新エネルギー車の販売台数は前月比9.2%減少し、月次ベースで初のマイナスを記録した。前年同月比では74.9%の増加だが、それでも今年に入って最低の伸び率だ。
さらに、メーカー各社の心理に大きく影響したのが、アメリカのEV大手のテスラが10月末に発表した大幅値下げだ。同社は主力車種である「モデル3」と「モデルY」の中国市場での販売価格を1万4000~3万7000元(約27万7100~73万2400円)も引き下げた。
テスラの値下げは、年末商戦に向けたメーカー各社の価格競争の激化を招いた。例えば、中国の新興EVメーカーの小鵬汽車(シャオペン)は最大2万元(約39万5900円)、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が中堅商用車メーカーの小康工業集団と共同で立ち上げた新ブランド「AITO(アイト)」は約3万元(約59万3900円)の値引きを提示している。
外資系メーカーも例外ではない。アメリカのフォードは「マスタング・マッハE」の中国市場での希望小売価格を最大2万8000元(約55万4300円)値下げ。ドイツのメルセデス・ベンツも高級セダン「EQE」の希望小売価格を約5万元(約98万9770円)引き下げた。
(財新記者: 戚展寧)
※原文の配信は11月23日
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