ベトナムの新興EV(電気自動車)メーカーのビンファスト(VinFast)は12月7日、新規株式公開(IPO)の申請書をアメリカ証券取引委員会(SEC)に提出した。ナスダックへの上場を目指しており、実現すればアメリカ株式市場に上場する初のベトナム企業となる。
ビンファストは、ベトナム最大の財閥ビングループを率いるファム・ニャット・ブオン氏が2017年に創業。当初はエンジン車を生産・販売していたが、2021年に初のEVをラインナップに追加し、2022年1月には全面的なEVシフトを宣言した。今や東南アジアを代表する新興メーカーとして注目を浴びる存在だ。
「当面の目標はIPOを成功させることだ。上場時の企業評価額や株式売り出しの規模は、今後の資本市場の状況によって決まる」。ビンファストCEO(最高経営責任者)のレ・ティ・トゥ・トゥイ氏は、同社が上場申請にあたって発表した声明のなかでそう述べた。
売上高の3倍超の純損失
2022年に入って以降、ビンファストは事業のグローバル化の加速に強い意欲を示してきた。3月には、同社初の海外工場をアメリカに建設すると発表。6月にはヨーロッパのドイツ、フランス、オランダなどに50カ所の販売・サービス拠点を開設すると発表した。
そして11月25日、SUVタイプのEV「VF8」を999台搭載した運搬船がベトナムのハイフォン港からアメリカに向けて出港。これは初のベトナム車の輸出であり、アメリカの顧客に12月末に納車される予定だ。さらに12月5日、ヨーロッパ市場の販売・サービス網の起点となる店舗が、ドイツのケルンとフランスのパリにオープンした。
しかしビンファストは、足元では資金不足と赤字拡大に直面している。IPOの目論見書によれば、2022年1~9月の累計売上高が4億3900万ドル(約600億2900万円)であるのに対し、同期間の純損失は3倍超の14億4500万ドル(約1975億8900万円)に上る。野心的なグローバル戦略を今後も継続できるかは未知数だ。
(財新記者:応楚岩、駐シンガポール記者:楊敏)
※原文の配信は12月7日
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