スイス重電大手のABBは12月2日、同社の産業用ロボット部門が1億5000万ドル(約202億円)を投じて上海市に建設した「メガ・ファクトリー」が完成し、稼働を始めたと発表した。
敷地面積6万7000平方メートルの新工場では、ロボットの製造と研究開発を一体的に行う。製造部門には高度に自動化されたフレキシブル生産方式を導入。研究開発部門では次世代のAI(人工知能)ロボットの設計・開発に取り組む計画だ。
新工場の完成により、上海市はスウェーデンのベステルオース、アメリカのミシガン州オーバーンヒルズと並ぶ、ABBの3大ロボット生産拠点の1つとなる。これらの拠点はそれぞれアジア、ヨーロッパ、アメリカの顧客に対するサービスを分担する。
ABBが、上海市にロボットがロボットを作る「未来の工場」を建設すると発表したのは、4年前の2018年10月のこと。自社製のロボットを使ってさまざまな用途のロボットを生産し、中国だけでなく海外にも輸出すると宣言した。だが、もともと2021年初めを計画していた稼働時期は、新型コロナウイルスの世界的流行などの影響で2年近く遅れた。
新規設置の7割超がアジアに
「世界で最も(工場の)自動化が進んでいる5カ国のうち、実に4カ国がアジアにある。中国での生産能力を高めることは非常に重要だ」。ABBの産業用ロボット部門を率いるサミ・アティア氏は、財新を含む複数のメディアの取材に応じてそう述べた。
国際ロボット連盟(IFR)のデータによれば、2021年に全世界で新たに設置された産業用ロボットは51万7400台。それらの設置先の7割超がアジア(の工場)だった。国別では、中国は言うまでもなく世界最大の市場であり、2021年の新規設置は26万8200台に上った。
「ABBの産業用ロボット事業にとっても、中国は最大の市場だ。2021年には、わが社のロボット・自動化事業の売上高の3割弱を占めた」。アティア氏はそう明かし、2025年にはABBが中国の顧客に販売するロボットの9割が中国製になるとの見通しを示した。
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は12月3日
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