中国スマホOPPO「独自開発半導体」の第2弾発表 将来のスマホ用SoC開発に向け経験値を積む

✎ 1〜 ✎ 1124 ✎ 1125 ✎ 1126 ✎ 最新
拡大
縮小
MariSilicon Yは製造工程に6nmの先端プロセス技術を採用した(写真はOPPOのウェブサイトより)

中国のスマートフォン大手のOPPO(オッポ)は2022年12月14日、独自開発の半導体の第2弾となる「MariSilicon(マリシリコン)Y」を発表した。スマホと無線イヤホンで音楽を楽しむためのブルートゥース・オーディオ用の制御チップで、製造工程に回線幅6nm(ナノメートル)の先端プロセス技術を採用した。

MariSilicon Yの生産は、半導体の受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が受託し、すでに量産前のテスト生産の段階にある。OPPOはMariSilicon Yを搭載したスマホを開発中だが、具体的な発売時期は明らかにしていない。

独自開発の半導体の第2弾として、なぜブルートゥース・オーディオ用チップを選んだのか。OPPOの半導体プロダクト担当シニアディレクターを務める姜波氏は、その理由を次のように述べた。

「主要な音楽アプリでは『ロスレス』と呼ばれる高音質、高解像度の音楽が多数配信されている。だがブルートゥースには(規格上の)帯域幅の制約があり、既存の無線イヤフォンでは原音に忠実な再生ができない。それなら、自分たちで作るしかないと考えた」

OPPOの発表によれば、MariSilicon Yのデータ転送速度は12Mbps(メガビット/秒)に達し、ブルートゥースの標準規格の4倍に当たる。

半導体開発部門は2000人規模

1年前の2021年12月、OPPOは独自開発の半導体の第1弾として、画像処理専用チップの「MariSilicon X」を発表した。このチップを搭載したOPPO製のスマホの累計販売台数は、すでに1000万台を超えたという。

OPPOの半導体開発部門の社員数は、今や2000人を超える規模に拡大した。財新記者の取材に応じた関係者によれば、半導体開発部門の最終目標はスマホ用SoCの独自開発だ。

(訳注:SoCはシステムオンチップの略称。CPU、通信モデム、画像処理回路などの基幹機能を1つのチップにまとめたもの)

本記事は「財新」の提供記事です

とはいえ、OPPOはチップ開発の経験がまだ浅く、IP(知的財産)ライセンスの取得も不十分だ。そのため、相対的に難易度が低いチップの開発で「経験値を積む」戦略をとっているという。

そのような観点からMariSilicon Yを見ると、確かに「修練」の色彩が濃厚だ。姜氏は率直に次のように語った。

「製造コストや投資回収などの見地から見れば、このチップは同種の(ブルートゥース・オーディオ用の)競合製品に比べて非常に高価だ。しかし、6nmのプロセス技術(に対応したチップ設計)は、われわれが将来必ず会得しなければならないものなのだ」。

(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は2022年12月15日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT