中国のスマートフォン大手のOPPO(オッポ)は2022年12月14日、独自開発の半導体の第2弾となる「MariSilicon(マリシリコン)Y」を発表した。スマホと無線イヤホンで音楽を楽しむためのブルートゥース・オーディオ用の制御チップで、製造工程に回線幅6nm(ナノメートル)の先端プロセス技術を採用した。
MariSilicon Yの生産は、半導体の受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が受託し、すでに量産前のテスト生産の段階にある。OPPOはMariSilicon Yを搭載したスマホを開発中だが、具体的な発売時期は明らかにしていない。
独自開発の半導体の第2弾として、なぜブルートゥース・オーディオ用チップを選んだのか。OPPOの半導体プロダクト担当シニアディレクターを務める姜波氏は、その理由を次のように述べた。
「主要な音楽アプリでは『ロスレス』と呼ばれる高音質、高解像度の音楽が多数配信されている。だがブルートゥースには(規格上の)帯域幅の制約があり、既存の無線イヤフォンでは原音に忠実な再生ができない。それなら、自分たちで作るしかないと考えた」
OPPOの発表によれば、MariSilicon Yのデータ転送速度は12Mbps(メガビット/秒)に達し、ブルートゥースの標準規格の4倍に当たる。
半導体開発部門は2000人規模
1年前の2021年12月、OPPOは独自開発の半導体の第1弾として、画像処理専用チップの「MariSilicon X」を発表した。このチップを搭載したOPPO製のスマホの累計販売台数は、すでに1000万台を超えたという。
OPPOの半導体開発部門の社員数は、今や2000人を超える規模に拡大した。財新記者の取材に応じた関係者によれば、半導体開発部門の最終目標はスマホ用SoCの独自開発だ。
(訳注:SoCはシステムオンチップの略称。CPU、通信モデム、画像処理回路などの基幹機能を1つのチップにまとめたもの)
とはいえ、OPPOはチップ開発の経験がまだ浅く、IP(知的財産)ライセンスの取得も不十分だ。そのため、相対的に難易度が低いチップの開発で「経験値を積む」戦略をとっているという。
そのような観点からMariSilicon Yを見ると、確かに「修練」の色彩が濃厚だ。姜氏は率直に次のように語った。
「製造コストや投資回収などの見地から見れば、このチップは同種の(ブルートゥース・オーディオ用の)競合製品に比べて非常に高価だ。しかし、6nmのプロセス技術(に対応したチップ設計)は、われわれが将来必ず会得しなければならないものなのだ」。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は2022年12月15日
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