アメリカ商務省の産業安全保障局(BIS)は12月15日、国家安全保障上の懸念を理由に、半導体の生産や研究開発を手がける中国企業36社を「エンティティーリスト」(訳注:アメリカの国家安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリスト)に追加すると発表した。
今回追加された36社には、フラッシュメモリー大手の長江存儲科技(YMTC)、半導体製造装置メーカーの上海微電子装備集団、AI(人工知能)半導体の開発を手がける中科寒武紀科技(カンブリコン)などの有名企業が含まれる。
BISは、これらの中国企業がアメリカ製品を入手、または入手を試みることにより、中国の軍事技術の近代化を後押ししていると主張。さらに、これらの企業は中国軍や軍需産業に関連する政府機関と密接な関係にあると述べている。
そのうえで、BISは(36社のうち)21社に対して「外国製直接製品」ルールを適用した。直接製品とは、アメリカの技術またはソフトウェアで直接的に生産された製品のことだ。
中国の能力向上阻止が狙い
これら21社がアメリカ製のソフトウェアを用いて設計した半導体は、その製造がすべてアメリカ国外で行われる場合にも、アメリカ商務省の輸出許可が必要になる。このことは、カンブリコンのような(半導体の設計に特化した)ファブレス企業が、海外の半導体受託製造企業(ファウンドリー)にチップの生産を委託できなくなることを意味する。
アメリカ政府は2022年夏頃を境に、先端技術の対中輸出規制を大幅に拡大・強化し始めた。10月7日には、説明資料の分量が139ページに上る大がかりな新規制を発動。その狙いは、高性能演算チップやスーパーコンピューターの開発、最先端の(微細加工技術を用いた)半導体製造などの分野で、中国の能力向上を封じることにある。
(訳注:BISの新規制に関しては『米政府、先端半導体技術の「対中輸出規制」を拡大』を参照)
「ハイテク技術の輸出規制は、単なる予防手段ではない。強力かつ持続的、包括的なやり方で実施すれば、アメリカおよび同盟国にとって新たな戦略的資産になりうる。敵対勢力にコストを課し、時間の経過とともにその戦闘能力を削ぐことが可能だろう」
アメリカ政府の国家安全保障担当大統領補佐官を務めるジェイク・サリバン氏は、9月16日に行った講演のなかでそう述べた。
(財新記者:杜知航)
※原文の配信は12月16日
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