中国DJIトップが語る「車の自動運転機能」の実態 「消費者にとってクルマ購入の決め手にならず」

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DJIが開発した運転支援システムは、約200万円の低価格マイクロEVに初搭載された(写真は上海通用五菱汽車のウェブサイトより)

「クルマの自動運転技術の研究開発には多大な投資が必要だ。だが、アプリケーションの世代交代やアップグレードのやり方に問題があり、消費者は価値を実感できていない」

中国の民生用ドローン最大手、大疆創新科技(DJI)の羅鎮華総裁(社長に相当)は、2022年12月16日に開催された自動車のスマート化に関するフォーラムで、自身の率直な見解をそう述べた。

「一部の技術マニアは自動運転技術に強い関心がある。しかし大部分の消費者にとって、自動運転機能(の有無)はクルマを購入する際の決め手ではない。例えば、多くの自動車メーカーは自社製品が『レベル2』の高度な運転支援システムを搭載したと宣伝している。だが実際に運転すると、メーカーや車種によって(システムの出来具合に)大きなばらつきがあるのが実態だ」(羅氏)

(訳注:レベル2の自動運転技術は、運転操作の主体は人間のドライバーにあり、車両のハンドル操作や加減速などをシステムが支援するもの)

クルマを購入する消費者は、搭載された運転支援システムが宣伝文句通りの「正式版(バージョン1.0)」であることを期待して対価を支払う。ところが、「実際に搭載されているのは(試用版レベルの)バージョン0.8や0.5のシステムだ」と、羅氏は歯に衣着せず指摘した。

低価格EVにシステム搭載

羅氏に言わせれば、自動運転システムはクルマを発売する時点で正式版の水準に達していなければならない。また、納車後にシステムをアップグレードする場合は、ドライバーにクルマを買い換えたかのような驚きを与えるバージョンアップが望ましい。「そのようにして初めて、スマート・カーの真の差別化と競争力アップが実現できる」(羅氏)。

DJIは、自動運転システムを中核とする自動車関連事業に2016年に参入。事業部門の「大疆車載(DJIオートモーティブ)」が、システムのハードウェアとソフトウェアの開発、生産、販売を手掛けている。

同社の運転支援システムを搭載した初の市販車は、低価格車を得意とする上汽通用五菱汽車(ウーリン)が2022年9月に発売したマイクロEV(電気自動車)「KiWi EV 大疆版(DJIバージョン)」だ。その希望小売価格は10万2800元(約202万円)と、自動運転技術を10万元台の身近な価格水準にまで引き下げた。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は2022年12月17日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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