中国企業が大株主「中米最大の銅山」が操業停止 利益配分をめぐってパナマ政府と合意できず

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コブレ銅山の輸出額は、パナマの総輸出額の75%を占める。写真はコブレ銅山の採掘現場(鉱山運営会社のウェブサイトより)

中央アメリカ最大の銅山であるパナマのコブレ銅山の運営会社に対して、パナマ政府が操業停止を命じたことがわかった。

親会社であるカナダの資源開発会社ファースト・クァンタム・ミネラルズ(FQM)が2022年12月16日、声明を発表して明らかにした。同社は操業停止の理由について、コブレ銅山の開発権益に関する「新たなロイヤリティーと税金について(の交渉が)合意に至らなかった」と説明している。

パナマ政府にとって、コブレ銅山の重要性はとてつもなく大きい。公表情報によれば、2021年の銅精鉱の輸出額は28億1340ドル(約3738億円)と、パナマの総輸出額の75%を占めた。これは同国のGDP(国内総生産)の3.5%に相当する。

コブレ銅山が商業生産を開始したのは2019年9月。推定埋蔵量は31億トンに上り、鉱山設備がフル稼働すれば年間30万トン超の銅を産出できる。これは世界の銅生産量の約1.5%にあたる規模だ。

背景に銅相場の高止まり

FQMの筆頭株主は、中国の銅大手の江西銅業集団だ。同社は2019年12月、FQMの株式を保有する企業を11億1600万ドル(約1483億円)で買収した。中国の大手格付け会社である中誠信国際信用評級のレポートによれば、2021年末時点の江西銅業の持ち株比率は18.354%だ。

冒頭の操業停止命令の背景には、銅の国際価格の高止まりがある。ロンドン金属取引所(LME)の銅相場は2022年初めから急騰し、3月には1トン当たり1万ドル(約133万円)の大台を突破。その後いったん値を下げたものの、夏以降は再び上昇に転じた。2022年12月20日の終値は1トン当たり8320ドル(約111万円)と、新型コロナウイルスの世界的大流行が始まる前と比較して4割以上高い水準にある。

本記事は「財新」の提供記事です

パナマでは、2019年5月の選挙でラウレンティノ・コルティソ・コエン氏が新大統領に当選した。そのコエン氏は就任前から、「高収益のコブレ銅山は公共の利益にもっと貢献すべきだ」と主張。FQMはパナマ政府と新たなロイヤリティーをめぐる交渉を続けていた。

(財新記者: 施毅敏、羅国平)
※原文の配信は2022年12月21日

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