中国「宝武鋼鉄集団」、豪州西部の鉄鉱山を開発 リオティントと合弁設立し2800億円超を投資

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宝武鋼鉄集団は、ウエスタンレンジ鉄鉱山から産出される鉱石を13年間購入する権利を獲得した。写真は同鉱山の開発予定地(リオティントのウェブサイトより)

世界最大の鉄鋼企業グループである中国の宝武鋼鉄集団が、海外事業の積極展開を続けている。同社は9月14日、世界的な鉱山開発大手の英豪リオティントと共同で、オーストラリア西部のウエスタンレンジ鉄鉱山を開発すると発表した。

宝武鋼鉄集団によれば、同社はリオティントと合弁会社を設立してウエスタンレンジの開発にあたる。出資比率はリオティントが54%、宝武鋼鉄集団が46%。投資総額は20億ドル(約2866億5600万円)を見込み、そのうち13億ドル(約1863億2600万円)をリオティントが負担する。

ウエスタンレンジ鉄鉱山は、西オーストラリア州ピルバラ地域のハマーズリー盆地に位置する。2023年に着工し、2025年に採掘を開始、平均含有率62%の鉄鉱石を年間2500万トン生産する計画だ。

両社は今回、ウエスタンレンジで産出される鉄鉱石の取引条件にも合意した。宝武鋼鉄集団は合弁会社への出資比率に応じて、毎年1150万トンの鉄鉱石を市場価格で13年間購入する権利を獲得した。

20年前から共同開発を継続

ウエスタンレンジ鉄鉱山は、同じくピルバラ地域にあるイースタンレンジ鉄鉱山の後続プロジェクトだ。20年前の2002年、宝武鉄鋼集団(訳注:当時は宝鋼集団)とリオティントは合弁会社を設立し、イースタンレンジの共同開発を継続してきた。この合弁会社の出資比率もリオティントが54%、宝武鋼鉄集団が46%となっている。

本記事は「財新」の提供記事です

公表資料によれば、イースタンレンジ鉄鉱山は2004年から操業を開始。採掘した鉄鉱石の全量を宝武鉄鋼集団が買い入れ、その総量は累計2億トンに上る。2019年には、宝武鉄鋼集団はリオティントの最大顧客にのし上がった。

両社は2018年12月、イースタンレンジ鉄鉱山の共同開発の期限延長と戦略提携関係のさらなる深化に合意した。こうした長年のパートナーシップが、今回のウエスタンレンジ鉄鉱山の共同開発に発展した格好だ。

(財新記者:施毅敏、羅国平)
※原文の配信は9月14日

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