中国の長江上流部に建設された巨大水力発電所「白鶴灘ダム」。2022年12月20日、発電所内に設置が進められていた合計16基のタービンの最後の1基が発電を開始し、同ダムの全面稼働が実現した。
白鶴灘ダムは、中国政府の「西電東送(訳注:中国西部で発電した電力を東部の消費地に送電する)」計画の基幹プロジェクトの1つだ。四川省寧南県と雲南省巧家県の境界を流れる金沙江(訳注:長江上流部の別称)の本流をせき止めて作られた。
国有水力発電最大手の中国長江三峡集団が事業主体となり、総額2200億元(約4兆1929億円)の巨費を投じて建設。発電所の総設備容量は1600万kW(キロワット)と、世界最大の水力発電所である「三峡ダム」(同2250万kW)に次ぐ規模を誇る。
ここで発電した電力は、主に(東部の)江蘇省と浙江省に送電される。ただし(水力発電の出力が下がる)冬場の渇水期は、隣接する四川省に100億kWh(キロワット時)の電力を優先供給することになっている。
地質調査から完成まで20余年
発電所の建設と同時並行で、東部への超高圧直流送電線の整備も進められた。2022年7月には、総額307億元(約5851億円)を投じて建設された江蘇省に至るルートが稼働。同年11月には同じく総額307億元を投じた浙江省に至るルートも竣工し、2022年末に稼働する予定だ。
白鶴灘ダムの建設は、1990年代に最初の地質調査に着手して以降、全面稼働まで20年以上を費やしたビッグプロジェクトである。ダム本体の工事は2017年8月に始まり、2021年6月には1基目のタービンが発電を開始した。
事業主体の中国長江三峡集団は、長江本流に作られた(白鶴灘ダムを含む)6カ所の巨大水力発電所を運営する世界最大の水力発電事業者だ。同社の水力発電所の総設備容量は2022年6月末時点で約7125万kWに上り、中国全土の水力発電設備の18%を占めている。
(財新記者:趙煊、沈哲琳)
※原文の配信は2022年12月21日
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