中国のEC(電子商取引)最大手、阿里巴巴集団(アリババ)の創業者として知られる馬雲(ジャック・マー)氏が、浙江省の経済団体「全球浙商総会」の会長を退任したことがわかった。12月7日、同会がSNSの公式アカウントを通じて明らかにした。
2015年10月に設立された全球浙商総会は非営利の民間組織(訳注:日本の商工会議所に似た互助組織)で、馬氏が初代会長を務めた。今回の退任は(任期満了に伴う)代表理事会メンバーの交代によるもので、後任の会長には産業用電器大手の正泰集団(チント・グループ)の董事長(会長に相当)を務める南存輝氏が就任した。
全球浙商総会は今や600名近い理事を擁する大組織で、会員企業は製造、金融、不動産、インターネットなどあらゆる業種を網羅。地理的な広がりも、中国全土はもとより世界の29カ国・地域に及んでいる。
馬氏はその会長に就任後、アリババでの職務だけでなく、全球浙商総会会長の肩書で経済動向、浙江企業の発展、企業経営者の責任などをテーマにした講演をたびたび行っていた。
現在もアリババの意思決定に影響力
しかし数年前から、馬氏は表舞台への露出を徐々に減らし始めた。2019年9月にはアリババの董事局主席(取締役会会長に相当)を退任し、ビジネスから「引退」。その後は(貧困地区などでの)教育活動や公益活動に精力を注いでいた。とはいえ、アリババ独自の「パートナーシップ」制度により、馬氏は現在も経営上の意思決定に影響力を保持しているとされる。
(訳注:アリババのパートナーシップ制度に関しては『ジャック・マー氏が「アリババ」の取締役を退任』を参照)
2020年10月、馬氏は上海で開催された金融フォーラムで講演し、中国政府の金融監督制度に批判的とも受け取れる発言をして物議を醸した。その翌月には、アリババのフィンテック子会社の螞蟻集団(アント・グループ)が、予定していたIPO(新規株式公開)の中止に追い込まれた。これを境に、馬氏は公の場にほとんど姿を現さなくなった。
全球浙商総会の新会長に就任した南氏は、現在59歳。正泰集団の董事長とともに、中国人民政治協商会議全国委員会の常務委員や中華全国工商業連合会の副主席などを兼務している。正泰集団の主力事業は発電や配電の効率化、スマート化などのソリューション提供で、グループ売上高は1000億元(約1兆9564億円)を超える。
(財新記者: 沈欣悦)
※原文の配信は12月7日
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