中国の電動バイク業界の新星として急成長してきた小牛電動(NIU)。その勢いがここに来て急失速している。
同社が8月15日に発表した2022年4~6月期の決算によれば、同四半期の売上高は8億2800万元(約162億円)と前年同期比12.4%減少。純利益は1440万元(約2億8337万円)と同84%の大幅減益となった。
4~6月期の電動バイクの販売台数は、国内市場と海外市場の合計で20万8900台と前年同期比17.4%減少。そのうち国内販売は同26.7%減の18万300台と、より失速ぶりが目立つ。
「わが社の国内販売は深刻な打撃を被った。新型コロナウイルスの(厳格な)防疫対策の影響で、製品開発にも滞りが生じた」。小牛電動のCEO(最高経営責任者)を務める李彦氏は、決算説明会でそう述べた。
とはいえ、中国の電動バイク業界全体が販売不振に陥っているわけではない。それどころか、業界の老舗メーカーの業績はむしろ好調だ。上場企業の愛瑪科技集団(アイマ)、雅迪集団(ヤディア)、新日電動車がそれぞれ7月に発表した業績予想によれば、3社はいずれも4~6月期に大幅な増益を見込んでいる。
「電動バイクの顧客は価格に敏感」
小牛電動の失速の主因は、同社が創業期から(スマート化やデザイン性を重視し、安物イメージの払拭を狙った)高級路線をとり、製品の多くにリチウムイオン電池を採用したことにある。リチウムイオン電池を搭載する電動バイクでは、製造コストに占める電池の比率が35~40%に上る。
そんななか、2022年に入って(主原料のリチウムの価格高騰などを背景に)リチウムイオン電池の調達コストが急上昇。小牛電動は電動バイク製造のコストアップによる利幅縮小を余儀なくされた。
一方、老舗メーカーは製造している電動バイクの大部分に今も鉛電池を搭載している。このため、リチウムイオン電池の調達コストが上昇してもビジネスへの影響は軽微なのだ。
小牛電動は製造コストの急上昇を吸収しきれず、リチウムイオン電池を搭載した電動バイクの販売価格を2022年4月1日から200~1000元(約3935~1万9678円)値上げした。
「電動バイクの顧客は(中低所得者層が多いため)価格に敏感で、製品を値上げすれば競争力は弱まる。小牛電動の勢いが失速したのは、その影響が大きいのではないか」。財新記者の取材に応じたベテランの業界関係者は、そんな見方を示した。
(財新記者:方祖望)
※原文の配信は8月16日
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