中国では元宵節(旧暦の1月15日。新暦では今年は2月5日)を過ぎると、春節(旧暦の正月)を故郷で過ごした出稼ぎ労働者が続々と都市部に戻り、働き口を探し始める。企業もそれに合わせて求人活動を行うが、今年は様子が違う。スマートフォンなどのエレクトロニクス製品やその部品を生産する工場の多くが、求人活動を早めに切り上げているのだ。
「今年の活動のピークは6日間で終わった。1月24日から27日まで連日300人を面接した後、2月1日から3日まで200人余りを追加募集しただけだった」。浙江省の人材派遣会社で採用責任者を務める徐さんは、財新記者の取材に対してそう語った。
徐さんの会社は華東地区の工場に(専門技術を持たない)一般工員を派遣しており、顧客リストには太陽光パネル大手の晶科能源(ジンコソーラー)、電子機器大手の聞泰科技(ウィングテック・テクノロジー)などが名を連ねる。例年なら大手企業の求人数は膨大で、人材派遣会社は4月まで労働者集めに忙しいのが常だった。
「新型コロナウイルスの防疫措置が緩和されたため、今年は(春節明けの)顧客の人材需要は旺盛だろうと期待していた。ところが現実は違った。求人について数百社の企業に打診したが、『(製品の)受注量が少ないので、急いで工員を雇う必要はない』という返事が大半だった」。徐氏はそう言って肩を落とす。
「人手不足はほとんどない」
労働力需給の変化とともに、賃金水準も低下している。例えば電子機器の受託製造サービス大手、富士康科技集団(フォックスコン)の一般工員の時給は、ピーク時には30元(約579円)に達していた。それが直近では23~24元(約444~463円)で推移している。
徐氏の説明によれば、中小企業の賃金は大企業に「右へならえ」で上下動する。昨年の時給の相場は17~26元(約328~501円)だったが、今はそれが17~22元(約328~424円)下がっているという。
華東地区だけではない。華南地区最大の一般工員の人材市場がある広東省深圳市の龍華区でも、求人状況は芳しくない。
「われわれの顧客に、人手不足の工場はほとんどない。製品の受注が落ち込んでいるためだ」。現地の人材派遣会社の担当者はそう話す。
この担当者によれば、なかでもフォックスコンや立訊精密(ラックスシェア)など、アップルの製品や部品を受託生産している工場の求人減少が目立つという。
(財新記者:楊錦曦)
※原文の配信は2月11日
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