半導体の受託製造サービス(ファウンドリー)で中国2位の華虹半導体は1月18日、中国の国策半導体ファンドである国家集成電路産業投資基金の2号ファンドを含む複数の投資家から総額40億2000万ドル(約5197億円)の出資を取り付けたと発表した。
同社はこの資金を、江蘇省無錫市に総額67億ドル(約8662億円)をかけて新設する12インチウェハーの生産ラインに投じる。新生産ラインでは回線幅40~65nm(ナノメートル)の成熟したプロセス技術を採用し、計画生産能力は月間8万3000枚、生産開始は2025年を予定している。
出資の内訳は、プロジェクトの事業会社に対して華虹半導体が8億8000万ドル(約1138億円)、同社の子会社の華虹宏力が11億7000万ドル(約1513億円)、国家集成電路産業投資基金の2号ファンドが11億6600万ドル(約1507億円)、無錫市政府の直轄ファンドが8億400万ドル(約1039億円)をそれぞれ拠出する。
これにより、華虹半導体は華虹宏力とともに事業会社の経営権の51%を確保する。国家集成電路産業投資基金の出資比率は29%、無錫市政府は20%となる。なお、今回の出資額と総投資額の差額の26億8000万ドル(約3465億円)は、社債発行や銀行借り入れで調達するとしている。
アメリカ政府の制裁の影響も
華虹半導体は現在、中国国内に8インチウェハーの工場3カ所、12インチウェハーの工場1カ所を持つ。そのうち12インチウェハーの工場はやはり無錫にあり、2020年に生産を開始した。この工場の事業会社も経営権の51%を華虹半導体が握り、国家集成電路産業投資基金が29%、無錫市政府が20%を保有する資本構成となっている。
「無錫の既存工場の生産能力を引き上げても、需要の増加に追いつけない。第2工場の建設は、12インチウェハーのビジネスを大幅に拡大するためだ」。華虹半導体はプロジェクトの狙いをそう説明する。
中国の半導体業界は最先端のプロセス技術の取得をめぐって、数年前からアメリカ政府の干渉を受けている。そんななか、中国メーカー各社は(アメリカ政府の規制対象に含まれない)成熟したプロセス技術を用いた生産設備の拡充を急いでいる。
例えば、中国のファウンドリー最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)は、回線幅28nm以上の12インチウェハー生産ラインを複数新設する計画を明らかにしている。華虹半導体の生産ライン新設も、同じ流れの動きと言える。
(財新記者:劉沛林、翟少輝)
※原文の配信は1月19日
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