レーザー光を用いた3次元センサーの「LiDAR(ライダー)」は、高度な自動運転システムの中核デバイスの1つだ。その開発を手がける中国の禾賽科技(ホーサイ・テクノロジー)は1月17日、アメリカ証券取引委員会 (SEC)に対して新規株式公開(IPO)の目論見書を提出した。順調に進めば、同社は中国のLiDARメーカーで初の上場企業となる。
LiDARは、レーザー光を対象物に照射して正確な距離を測定できる。すでに広く普及しているカメラ式のセンサーの弱点を補完し、自動車、ロボット、ドローンなどさまざまな機器の自動操縦に応用可能だ。
2014年に創業した禾賽科技は、自動車の自動運転システムおよび先進運転支援システム(ADAS)向けのLiDARに注力している。現時点の具体的な応用分野はADASを搭載した乗用車、(バスやトラックなど)人や貨物を運ぶ自動運転車両、無人配送ロボット、道路清掃ロボットなどだ。
(訳注:自動運転システムは運転操作の主体をシステムが担う。ADASは運転操作の主体は人間のドライバーにあり、システムがそれを支援する)
売上高が2年で倍増
実は、禾賽科技のIPOへのチャレンジはこれが初めてではない。同社は2021年1月、上海証券取引所のハイテク企業向け新市場「科創板」への上場を申請し、20億元(約380億円)の調達を目指していた。しかしその2カ月後、上場申請を自ら取り下げた経緯がある。
なお今回、禾賽科技はナスダックへの上場を計画しているが、資金調達の規模はまだ明らかにしていない。
科創板への上場申請を取り下げた後、禾賽科技の業績は急拡大してきた。SECに提出した目論見書によれば、同社の売上高は2019年の3億4800万元(約66億円)から、2021年は7億2100万元(約137億円)と2年間で倍増。2022年は1~9月で7億9300元(約151億円)と、2021年の年間売上高を上回っている。
その原動力はLiDARの出荷台数の大幅な増加だ。目論見書によれば、2022年の出荷台数は8万400台に上り、それ以前の数年間の総和を大きく上回った。中国の自動車市場ではADASを搭載した新型車の発売が2022年から急増。禾賽科技は、それらに組み込まれたLiDARのトップ・サプライヤーなのである。
とはいえ、禾賽科技は損益の黒字化をまだ達成していない。目論見書によれば、2021年の純損失は2億4000万元(約46億円)。2022年1~9月の純損失は1億6500万元(約31億円)だったが、前年同期比では赤字額が5%縮小した。
(財新記者:余聡)
※原文の配信は1月18日
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