中国では新型コロナウイルスの防疫対策の見直し(訳注:ゼロコロナ政策の事実上の終了)を機に、製造業の景況感が上向きつつある。しかし景気回復の足取りは、まだ確かとは言えない状況だ。
2月1日に発表された2023年1月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は49.2を記録。前月(49.0)より0.2ポイント上昇したものの、好不況の判断の目安である50を6カ月連続で割り込んだ。
新型コロナの感染拡大を背景に、1月の製造業の事業活動は供給側と需要側の双方で縮小が続いた。その結果、供給側の指標である生産指数は5カ月連続で、需要側の指標である新規受注指数は6カ月連続で、拡大基調と縮小基調のボーダーラインを下回った。
雇用も全体的に厳しい。1月の雇用指数は前月比では上昇したものの、引き続きボーダーラインを下回る水準で推移した。調査対象企業からは、新型コロナの感染拡大により「離職者の後釜を補充したくても採用活動ができなかった」との声も寄せられた。
経済の正常化を加速できるか
そんななか、製造業は引き続き強いコスト上昇圧力に直面している。金属など原材料価格の高止まりを背景に、製造業の仕入れ価格の指標である購買価格指数は4カ月連続でボーダーラインを上回った。
その一方、需要低迷や顧客の値引き要求が高まるなか、コストアップの価格転嫁は容易ではない。製造業の販売価格の指標である工場出荷価格指数は、1月もボーダーラインを下回る水準で推移した。
ゼロコロナ政策の緩和により、企業経営者の先行きに対する見方は(2022年12月を境に)顕著に改善した。1月もそのトレンドは変わらず、製造業の経営者の向こう12カ月間の楽観度を示す指数は2021年5月以降の最高値を記録した。
「製造業に対する新型コロナの負の影響はまだ残っているものの、経営者の間では将来を楽観する声が増えている。感染拡大のショックを乗り越えた後は、経済活動や市民生活の正常化をいかに加速するかが(政府の)経済政策の焦点になるだろう」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:夏怡寧)
※原文の配信は2月1日
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