「埠頭のコンテナヤードに、空きコンテナが溢れんばかりに積み上がっている。こんな光景は何年も前から見たことがない」。中国最大級のコンテナ港である上海港で荷役作業に携わるオペレーターは、そう困惑した表情で話す。これは上海港だけの話ではない。中国各地の大型コンテナ港に、うずたかく積まれた空きコンテナの山が出現しているのだ。
海運業界向けに空きコンテナのマッチング・サービスを提供するコンテナ・エクスチェンジは、世界の主要港ごとにコンテナの空き具合を指数化した「コンテナ可用性インデックス(CAx)」を発表している。その最新データによれば、2023年第6週(2月5~11日)の上海港の指数は40フィートコンテナで0.64と、11週連続で0.6を上回った。
CAxの数値は0.5より大きいと空きコンテナの過剰、0.5より小さいと不足を意味する。2020年に新型コロナウイルスの世界的大流行が始まり、港湾の荷役作業の停滞などで空きコンテナが極端に不足した時期には、上海港のCAxは0.1を下回っていた。
作りすぎに貿易低迷が追い打ち
「2022年10月以降、輸出製品を詰め込んで港を出て行くコンテナより、海外から戻ってくる空きコンテナのほうが多くなった。中国の主要コンテナ港は、いずこも空きコンテナの置き場不足に悩んでいる。なかには余っているコンテナ船に空きコンテナを満載し、沖合に係留しているケースもあるほどだ」。ある大手フォワーダー(貨物運送代理業者)の担当者は、財新記者の取材に対して実情をそう明かした。
空きコンテナ過剰の背景には複数の要因がある。なかでも根本的なのが、コンテナの作りすぎだ。新型コロナ流行後のコンテナ不足と運賃急騰をきっかけに、コンテナ・メーカーに注文が殺到。イギリスの海事コンサルティング会社ドリューリー・シッピング・コンサルタンツの調査レポートによれば、2021年だけで700万TEU(20フィートコンテナ換算)を超えるコンテナが生産された。これは平時の年間生産量の3倍近い数だ。
そこに追い打ちをかけたのが国際貿易の低迷だ。2022年に入ると、ロシアのウクライナ侵攻やインフレの影響などが重なり、欧米諸国の消費が減速。中国から欧米に向かうコンテナの輸送需要が落ち込み始めた。
イギリスの海事情報大手クラークソンズ・リサーチは、2022年の世界の海上コンテナ輸送量は前年比3.1%減の2億100万TEUに縮小したとの見方を示している。
(財新記者:李蓉茜、楊錦曦、包志明)
※原文の配信は2月14日
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