ドイツ政府の差し止めで一時停滞していた、中国遠洋海運集団(コスコ・グループ)によるハンブルグ港のコンテナターミナル運営会社への出資計画が、再開に向けて動き出した。「コスコ・グループの出資を認めるべきか否かについて、ドイツ政府内で妥協案が形成されつつある」。現地メディアの南ドイツ新聞は、10月24日付の記事でそう報じた。
妥協案の内容は、コスコ・グループの子会社の中遠海運港口(コスコ・シッピング・ポーツ)によるハンブルグ港のトレロー・コンテナターミナル(CTT)への出資比率を、当初予定の35%から24.9%に引き下げるというものだ。南ドイツ新聞の報道によれば、出資に反対を表明していたドイツの6つの政府機関が妥協案に同意した。
ハンブルグ港には4つのコンテナターミナルがあり、CTTはその1つ。出資比率の引き下げにより、コスコ・グループはCTTの経営上の意思決定に影響力を行使できない少数株主にとどまることになる。
コスコ・グループは中国最大の国有海運会社だ。2021年9月、同社はコスコ・シッピング・ポーツを通じてCTTの発行済株式の35%を6500万ユーロ(約95億円)で取得すると発表。だが、インフラ施設の買収にはドイツ政府の承認を取り付ける必要があった。
ショルツ政権の複数の閣僚が反対
ドイツメディアの報道によれば、副首相のロバート・ハベック氏ら複数の閣僚が、中国に対する自国の過度の依存を警戒し、コスコ・グループの出資に反対している。しかし首相のオラフ・ショルツ氏は総合的な判断に基づき、妥協案を推進したい考えだ。
ハンブルグ港はドイツ最大の港であると同時に、(オランダのロッテルダム港、ベルギーのアントワープ港に次ぐ)ヨーロッパ第3位のコンテナ港だ。2020年のコンテナ取扱量は850万TEU(20フィートコンテナ換算)に上った。
「中国企業の出資がハンブルグ港にもたらすのは巨大な利益であり、リスクではない。中国を拒絶することは、ハンブルグ港にとってもドイツにとっても損失が大きい」。ハンブルグ港マーケティング協会のCOO(最高執行責任者)を務めるアクセル・マターン氏は、ドイツメディアの取材にそうコメントした。
(訳注:ドイツ政府は10月26日、上述の妥協案の承認を閣議決定した)
(財新記者: 胡静怡)
※原文の配信は10月25日
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