中国とヨーロッパを結ぶ国際貨物列車「中欧班列」で大渋滞が発生している。新疆ウイグル自治区とカザフスタンの国境にある阿拉山口やコルガス、内モンゴル自治区とロシアの国境の満州里、黒竜江省とロシアの国境の綏芬河などの国境検査場に列車が滞留。中国各地の貨物ターミナルでは、中欧班列の貨物の積み込みを一時中断する事態になっている。
最大の原因は今冬の悪天候だ。「ここ数週間、新疆ウイグル自治区はたびたび暴風雪に見舞われている。阿拉山口やコルガスを経由する列車では貨物積み替えの作業効率が著しく低下し、(国境通過までにかかる時間が)通常より1週間ほど長くかかっている」。物流大手の京東物流で国際列車事業の責任者を務める楊欽氏は、そう解説する。
それだけではない。2022年に起きた貨物の流れの大きな変化も、渋滞に拍車をかけている。「ロシアのウクライナ侵攻と西側諸国の対ロシア制裁の影響を受け、中欧班列は2022年にロシア向け貨物が前年比7割近く増加した。そのため、国境検査場では大量のロシア向け貨物の積み替え作業に追われ続けている状況だ」。中欧班列の実情に詳しい物流業界のベテラン関係者はそう話す。
軌道幅の違いで直通運転できず
中欧班列は中国各地の貨物ターミナルを起点とし、新疆ウイグル自治区を経由する西部ルート、内モンゴル自治区を経由する中部ルートなど複数の経路を通ってヨーロッパに向かう。その大部分がロシアを通過するほか、ロシア(の貨物ターミナル)も主要な目的地の1つになっている。
そんななか、輸送力のボトルネックになっているのが国境での貨物の積み替え作業だ。中国の鉄道の軌道幅は1435ミリメートル(標準軌)だが、隣国のロシア、カザフスタン、モンゴルは1520ミリメートル(広軌)。そのため列車の直通運転ができず、貨物の積み替えが必須だからだ。
西側諸国の対ロシア制裁により、ヨーロッパの港湾ではロシア向け貨物の取り扱いが制限を受けている。そんななか、ロシアは海外から輸入する貨物の輸送を中国経由の「東方ルート」にシフトさせてきた。中欧班列はその恩恵としわ寄せの両面を受けている。
(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は1月16日
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